「誰が何と言おうとC組スタートという事実は変わらない」──。
険しい表情で”現在地”を受け止めるのは、重松凱人選手。2022年育成ドラフト9位で地元の戸畑高校から亜細亜大学を経て入団した、走攻守三拍子揃った右の長距離砲です。
春季キャンプは”まさかの”C組スタート。今季が大卒4年目になる重松選手は、鬼気迫るような表情で、朝から晩までバットを振り続けます。
「やっぱり山川(穂高)さんのところに行って、考えることが増えたので、時間が足りない。考えて、身に付けて、試合では無意識の状態で出来ないと結果を残せない。なので、(頭を使いすぎて)頭が痛いです」
12月の自主トレは、チームの主砲である山川選手に師事しました。1つ1つ丁寧に指導や解説をして貰ったり、山川選手の打撃を見て学んだり、とにかく頭も身体も使って叩き込みました。
打つ前段階から考えることはたくさん。構える前の足場作りや、トップの位置、腹圧の入り……。打った後は、打った時のバランス、打球の質、飛んだコース、その善し悪し……。「考えていたら時間が足りない」と毎球毎球、バットを振っては振り返り、考えています。ゲージから出ている間も、常に頭は休まることがありません。徹底的に集中しています。

「負けは負けなので」受け止めた”敗北”
「試合始まったら宮崎行くから、それに向かってやってくれ」とコーディネーターから告げられて知った、今春の筑後キャンプスタート。
決して評価されていないわけではありません。様々なチーム事情もあります。捉え方は人それぞれですが、重松選手は真っ直ぐに現実を受け止めていました。
「誰が何と言おうとC組スタートという事実は変わらないので、しっかり自分の実力を受け止めて、上にいる人たちに勝って、上に上がっていかないといけない。実戦から行けるから良しとするのではなく、自分の実力でC組から始まったので、自分の実力でBに行って、Aに上がって、自分の実力で支配下を勝ち取りたい」
C組を前向きに解釈することは出来ませんでした。昨季を振り返っても悔しさがにじみます。
「数字を見ても、去年怪我する前、2軍でも2割ちょっとしか打てなかったし、ホームランも打てなかった。調子よくて3割打てた時期もあったけど、その時は山ちゃん(山本恵大)が4割打っていた。それは負けは負けなので」
昨季序盤、2軍で食らいつく姿が印象的だった重松選手。ただ、同時期に山本選手も猛アピール。左右違えど、同じく打撃が持ち味の外野手の山本選手は、そのまま活躍を続け、4月に支配下登録を勝ち取りました。その後、自身は怪我で離脱。”敗北”を真っ直ぐに受け止めたシーズンだったのです。


だからこそ、自分自身を見つめ直して、今季の躍進に繋げます。
俊足も持ち味ですが、「足は周東(佑京)さんやイヒネ(イツア)に勝てない」と冷静に分析。「バッティングはいろんな役割がある中で、ホームランが1番自分の魅力であり、そこを磨いて競って、1軍で戦いたいというのがありました。そこを極めようと思っています」と目標に掲げるのは、山川選手のような”ホームランバッター”。
自分の武器を理解し、方向性を明確にした上で、レギュラーを勝ち取るにはどうするべきなのかを分析しました。
「去年は率で戦っていたけど、今年はホームランの数字で。2軍なので、本塁打王を取りたいとかいう目標はないんですけど、その分野だけは突っ走っていきたい」と決意します。そこを極めて結果を残せば、自ずと支配下は近づくはずです。
キャンプ休日も「時間が足りない」とバットを振りました。とにかく全ての時間を野球に費やす覚悟が滲む重松選手。きっと大きな花を咲かせるための、大事な時間になっているはずです。

