伸び代しかない。期待感漂うブルペン投球に魅了されました。
昨秋のドラフト会議で、”最後の最後”にプロへの切符を掴んだのは、準硬式からの新星でした。
福岡ソフトバンクホークスの育成ドラフト8位ルーキー・北斗(大山北斗)投手。
中央大学準硬式野球部から史上初めてのプロ入りとなりました。沖縄県出身で、興南高校時代は甲子園出場なし。大学で準硬式の道に進んだのは、熱心に誘ってくれた縁を大切にしてのことでした。

初めてのプロでのキャンプは、筑後のC組で過ごしています。準硬式出身ということで、他の大卒ルーキーの投手陣とは別で、じっくりと土台作りからスタートしています。
今月3日に初めてブルペンで立ち投げ。7日には、捕手を座らせて投球練習を行いました。
「8、9割くらい(の力感)ですが、思ったより球速が出ていてビックリしました」と2度目のブルペンにも関わらず、146キロを計測しました。硬式よりも球速が出にくいといわれる準硬式で、最速152キロの北斗投手。やはりポテンシャルの高さがうかがえます。何より、球速云々ではなく、迫力満点のブルペン投球に惹き込まれました。全身を使ってダイナミックに投げ込むストレートは、うなりを上げていました。




「だいぶマウンドにも慣れてきて、いい感じでした。最初は(プロのマウンドは)固いなと思ったけど、(スパイクの歯が)バチッとハマるので投げやすいです」と清々しい表情からも手応えが感じられました。
準硬式と硬式の違い
高校時代は硬式ですが、大学4年間準硬式でプレーし、プロで再び硬式球に握り変えた北斗投手。準硬式球は、簡単にいうと「中身は硬式、外側は軟式」。1番の商売道具であるボールが違うわけですから、様々な変化があるはずです。
北斗投手は、「準硬式は結構前でリリースするけど、硬式は耳の横あたりでパッと投げる感じ。最初は準硬式のイメージで投げちゃって、操作性が難しかったです」と振り返ります。
準硬式はボールの特性上、より前でリリースしないとしっかり指に掛かりきらないといいます。硬式のリリースイメージとはやはりギャップがあったようです。
また、キャンプ中は個別練習でノックを受けています。「今までは基本、土のグラウンドでした。人工芝での守備に慣れるために、ノックを打ってもらいました」と目的を語ります。「人工芝はイレギュラーとかしないので捕りやすい。いいグラウンド過ぎるのでありがたい」と環境にも感謝しました。

準硬式でプレーしていた昨年8月頃、次のステージを見据えて、硬式の練習を始めた北斗投手。卒業後は社会人野球へ進み、そこからプロへの道を切り開きたいと考えていました。「そしたら、たまたま声がかかって」と、予期していなかった”準硬式から直接プロ入り”することが出来ました。
「そういうことは有り得ないと思っていたので、ビックリの方が勝ちました。ご縁があって良かったです」と改めて感謝しました。
初めてのブルペン投球で、インパクト十分だった力強い直球。さらに、”準硬式で最速152キロ”というのももちろん魅力ですが、北斗投手は自身の持ち味を”多彩な変化球”と語ります。
「多彩な変化球があるので、それを使って、最後は真っ直ぐでバッて締めくくれたらいいなというイメージがあります。変化球で惑わして、ストレートもあるんだぞという感じでいきたい」
現在はまだ変化球を”解禁”しておらず、直球に慣れながら磨く日々です。準硬式と変化量や軌道も変わるはずですが、どのように”料理”していくのか、今から非常に楽しみです。
培われた体力と光るのびしろで球界の”北斗七星”に…
プロでの初めてのキャンプに「毎日、こんなにたくさん練習すると思っていなかったです(笑)だいぶ練習していると思います」と笑います。
“週7″で練習していた中央大準硬式野球部出身の北斗投手が言うのですから、それは充実しているはず。球場から寮まで約10キロを走るのが同部の伝統だといいますが、「それは余裕なんですよ。日常生活なので」と笑います。試合の日も「バスは使いません。20キロ以内なら走って行きます」と明かします。強靭な下半身や体力はこうして培われました。
「大学時代は1日の練習時間も長かったですね。だから、たくさん練習するのは得意ですが、(プロでは)やったことのないような動きがあったりするので、変なところに筋肉痛がきたりします」と食らいつく日々。体幹やウエートトレーニングも本格的に取り組むのは初めてだといいます。練習する体力がある中で、まだまだ強化できるポイントがたくさんありそうな北斗投手。のびしろしかありません。
「まずは、キャンプを怪我なく終わって、2軍でも3軍でも主戦で投げれるように頑張ります」と笑顔で意気込みを語りました。


さらに、準硬式野球界の光となるべく、活躍を誓います。大学の準硬式野球部から直接プロ入りした例は、2020年ドラフト5位で福岡大学から埼玉西武ライオンズに入団した大曲錬投手以来。
「自分は育成なので、やるしかないです。まずは自分が結果を出して、(準硬式の)後輩たちに夢を与えられる選手になりたい」と胸に秘めた熱い思いを口にしました。
準硬式界の希望の星、”北斗七星”になれるはず──。のびしろに期待を込めて、これからの成長を見守りたいです。
