7月13日、2年目の前田悠伍投手が今季初登板初先発となった楽天戦で念願のプロ初勝利を飾りました。おめでとうございます!6回4安打無失点の好投でした。
昨年から2軍で前田悠投手の成長を見守ってきた小笠原孝2軍投手コーチにお話を聞きました。2軍戦を終えてしばらくすると、1軍も試合が終了し、前田悠投手のプロ初勝利が確定。小笠原2軍投手コーチも嬉しそうに目尻を下げました。

「悠伍は去年から見てきて、本当に日に日に成長しています。他のみんなには悪いけど、やっぱり1番向上心が強いと思う。そこはみんなも認めるんじゃないかな。良くなりたい、上手くなりたいっていう気持ちが強いですね」と日々の取り組みを振り返ります。向上心の強さゆえに、様々なことにトライするため、時々コーチが方向を正してあげることも。常にストイックに黙々と取り組んでいました。
小笠原2軍投手コーチは「去年、1軍で悔しい思いをしたからこそ、今日の初勝利に繋がっていると思う」と頷きました。

昨年10月1日のオリックス戦。前田悠投手は高卒ルーキーながらプロ初登板初先発を経験しました。まっさらなみずほPayPayドームのマウンドに上がると、初回は三者凡退と上々の立ち上がり。しかし、2回に一転。連打を浴び、一挙4失点すると、3回には本塁打を浴び、結局3回8安打6失点で降板。プロの洗礼を浴びる格好となりました。
あれから約9か月ーー。
今季は2軍で5勝を挙げ、防御率1.07。7試合(37回2/3)連続無失点と圧巻の結果を残し続け、プロ2度目の1軍先発機会を掴みました。
小笠原2軍投手コーチは「プロ初登板の時は、やるべきことが出来ていなかった」と振り返ります。”超高校級”の高卒新人・前田悠投手でも、さすがに初登板は力が入り、”普段通り”の投球が出来ませんでした。その反省を生かすように、今季2軍ではどんな状態であろうと、やるべきことを徹底する姿が光りました。

7月3日のウエスタン・リーグ阪神戦では、先発して5回2安打無失点。小笠原2軍投手コーチは「ここっていう要所で低めに投げることが出来る。カウントを悪くしてもそうだし、そこで低めのワンバンを投げる勇気が1番。勇気を持って徹底出来ていました」と状態の善し悪しに関わらず、今季2軍で結果を残し続けた左腕の凄みを説明しました。また、しつこく言い続けた「右のインサイドに投げきれ」ということも、前田悠投手は自身の生命線だとしっかり理解。課題やテーマを明確に持ちながら毎登板挑み、たとえ抑えても、「これが1軍だったら許されない」「1軍だったらやられていた」と常に厳しく冷静に、上を見て取り組んできました。
初勝利を挙げた昨日の降板後、前田悠投手は「去年の1軍初登板の経験を活かし、あまり1軍ということを意識せずに、2軍と同じ気持ちで投げることができたのが良かったと思います。2軍でやってきた事を出すことができました」とコメント。まさに昨年の悔しさを糧に、今年やってきたことを徹底して掴んだ初勝利でした。
小笠原2軍投手コーチは、「あれ(プロ初登板での経験)が良かったね。あの時、悔しい思いをしていて良かったと思う。簡単に勝ってたら、すぐ調子に乗るからね」と笑いました。

「これならいけるんじゃないか」
前田悠投手の1軍での登板が決まった頃、小笠原2軍投手コーチは約3か月ぶりに前田悠投手とキャッチボールをしたそうです。すると、「衝撃を受けました」とその時の興奮を語ります。
「正直言うと、まだ状態が上がっている途中でした。ここからもっと良くなるだろうなという段階でしたが、久しぶりにキャッチボールしたら、衝撃を受けましたよ。ボールの手元の強さが全然違って。本当にピッとくる。悔しいくらい良かった。今までは捕りやすいボールだったのに(笑)真っ直ぐはもちろん、カーブも良くなっていて、ビックリしました」と熱を込めました。
久しぶりに直接キャッチボールで会話をしたことで、「これならいけるんじゃないか」と直に成長を感じたといいます。そして、小笠原2軍投手コーチの見立て通り、素晴らしいパフォーマンスを発揮し、プロ初勝利を掴みました。
前田悠投手はお立ち台で「ようやくプロ野球生活がスタートした1日なので、これからもっと勝っていけるように頑張ります」と笑みを浮かべました。まだまだ始まったばかりのプロ野球生活なのに、日々周囲を驚かせ、どんどん期待値を上げてくる若き左腕のこれからが楽しみで仕方ありません。
まずは、大きな一歩となったプロ初勝利、本当におめでとうございます。