10日、筑後のリハビリ組に、森山良二リハビリ担当コーチ(投手)がスーツで姿を見せました。
7日に球団から来季契約を締結しない旨を伝えられ、退団することになった森山コーチ。チームを離れることが決まってから初めてリハビリ組の面々と顔を合わせました。

森山コーチは集合の輪で、選手たちに熱を込めて話をしました。
「一喜一憂するなよ、と。ずっと言ってきたことだけど、『人間万事塞翁が馬』って言葉を使って。良い時も、本当にそれが良い時か分からないし、悪い時もそれが本当に悪い時か分からない。それは考え方次第。一喜一憂しないで、怪我したことがいつか良いことに繋がるかもしれない。それは考え方次第だからな、って」

『人間万事塞翁が馬』は、人生における幸不幸は予測できないもので、幸せが不幸に、不幸が幸せにいつ転じるかわからないのだから、安易に喜んだり悲しんだりするべきではないという意味。人生において、何がよくて何が悪いのか、後になってみないとわからない。物事に一喜一憂しない姿勢を諭す、中国の故事に由来したことわざです。
リハビリ中の選手たちは、状態に波があったり、気持ちが暗くなってしまうことも当然あります。そんな中でも、森山コーチは常に選手たちの心に寄り添い、冗談を交えながら熱く盛り上げ、気持ちの面でもサポートしてきました。

「森山さんの存在は大きい」
選手たちに心から慕われていた森山コーチ。だからこそ、突然の別れにショックを隠しきれない選手もいました。
6日の夕方、球団から電話が掛かってきて、翌朝球団事務所に呼ばれた森山コーチ。7日の練習に姿がなく、選手たちは状況を悟ったといいます。
「練習来たらいなくて…さすがにその日はみんな暗かったですね。森山さんの存在は大きいですよ」と澤柳亮太郎投手は証言します。
そんな心の支えが居なくなる現実ーー。
日頃から森山コーチが伝えてきた”笑顔”が消えている選手もいました。
森山コーチは「いつも言ってる『笑いの治癒力』。暗くなってもしょうがない。治るものも治らないからな」と最後まで力強く、明るく選手たちに訴えかけました。
そうは言っても、森山コーチ自身も「やっぱり寂しいですよ。(怪我が治って)しっかり投げられるようになるまで見たかったけど、こればっかりはどうしようもないからね」と寂しそうに語りました。
プロ野球の世界は、選手のみならず、コーチやスタッフも同様に厳しい世界。それぞれがそういう世界だと分かりながらも、やはり衝撃が走った森山コーチの退団。
残念でなりませんが、森山コーチが伝えてきた想いは、きっと選手たちの心に深く刻まれているはず。これからも復帰を目指す選手たちの励みになることでしょう。
