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“恩返し弾”で大友宗が突きつけられた現実

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公開日:2025.11.02

夢を叶えたドラフト会議から1年が経ちました。高校、大学、社会人、独立リーグを経て25歳でプロ野球選手という夢を叶えた苦労人、大友宗捕手。

昨季はルートインBCリーグの茨城アストロプラネッツでプレー。リーグ2位タイの12本塁打を放った長打力や、捕手として肩の強さも武器に活躍し、ホークスから育成ドラフト3位で指名されました。

“オールドルーキー”として過ごした今季は、2軍戦で42試合に出場して104打席立ち、打率.233。放った1本塁打はインパクトがありましたが、本来の持ち味である長打力を存分には発揮しきれませんでした。それでも、攻守で食らいつき、充実したシーズンを過ごしました。

2軍はシーズン最終盤まで優勝争いをしていました。しかし、最後の遠征で2軍から3軍に合流した大友捕手。最後まで優勝に向けて戦えなかったことを残念がりましたが、3軍はBCリーグ選抜との交流試合でした。

大友捕手はそこで特大の本塁打を放ちました。打った瞬間、確信歩き。完璧な一発に「久しぶりですね。打った瞬間いったなと思いました」と笑みを浮かべました。

1年前と逆の立場で立つグラウンド

強烈な”恩返し弾”──。
大友捕手は1年前、そのBCリーグ選抜の一員としてタマスタ筑後を訪れ、ホークスと対戦していました。

「1年後に逆の立場でここに立っている。改めてありがたみを感じています」

意識するところはあったといいます。その中で”古巣”に成長した姿をみせるような一発でしたが、大友捕手は複雑な思いも吐露しました。

「打てて嬉しいよりも、悔しい気持ちの方が強くて」

一体、その真意とは──。

「なんで2軍では打てないんだろうという気持ちになりました。3軍から2軍に上がってからはああいう会心の当たりが1つもなくて」

NPB相手に戦う2軍と、独立リーグや社会人チームなどと戦う3軍では、相手投手のレベルの違いもあります。ミーティングのボリュームも2軍の方が圧倒的に多く、なかなか自身の打撃の準備をする余裕もありません。

ただ、それを踏まえた上でも、「3軍に来てすぐにいい打球が出るっていうのは、知らず知らずのうちに2軍では力んでしまったり、周りの目を気にしすぎていたりとか、外的要因が左右して自分のマインドがよくないのかなとすごく感じました。今日の1本はすごく考えさせられる1本でした」と現実を突きつけられる本塁打だったのです。

たしかに、3軍では44試合に出場し、打率.379。5本塁打など長打率も.663と存在感を示しました。

自身の精神面での脆さを感じた1年でした。

「野球が終わってもいいように」悔いなく駆け抜けた経験

元々、考えてしまうタイプだという大友捕手。「そういうところも1個ずつクリアにして、上の舞台でパフォーマンスを発揮出来るようになっていけば、なんとかやっていけるのではないかと思うので、メンタル的なところを早く自分の中で確立していきたい」と明確な課題を受け止めました。

1年前のホークスとの交流戦は、ドラフト前の最後の試合でした。「アピールしてやろうという気持ちもありましたけど、自分はそれを考えすぎると力を発揮できないタイプなので、空回りしたのもあるんですけど」と振り返ります。その時も、考え過ぎたことで思うようなパフォーマンスが出来なかったといいますが、”背水の陣”で戦ってきたからこそ得た強さもありました。

「去年1年間は野球が終わってもいいように悔いなくやってきた」

野球人生をかけて過ごしたシーズンでした。そんな中で掴んだプロへの切符──。だからこそ、昨年と同じように、この1年も大切に悔いの残らぬように、全力で過ごしてきました。「去年の1年があったから今年に繋がった」と思えるルーキーイヤーでした。

プロ1年目、ホークスはリーグ優勝し、日本一になりましたが、「1軍の優勝に関してはすごく遠く感じました。実際、あそこに立てる権利を得られていないので、すごく遠く感じました」と正直、実感を得ることは出来ませんでした。

冷静に受け止める現在地。大友捕手は「置かれた場所で出来ることをしっかりやることが大事」とこれからも真っ直ぐに野球と向き合い続けます。この1年の大きな経験を糧に、来季の飛躍を誓いました。

Writer /

上杉 あずさ『班長』

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