福岡への感謝を胸に、新天地での活躍を誓いました。
14日、千葉ロッテマリーンズが宮﨑颯投手の獲得を発表しました。
宮﨑投手は10月27日に福岡ソフトバンクホークスから来季の契約を結ばないことを告げられました。球団からは育成再契約が打診されていましたが、新天地でプレーすることを選びました。
福岡を離れる前、「福岡に来られて良かった。ホークスで3年間プレーできたことは財産です」と改めて感謝の言葉を口にしました。

周囲を驚かせた”奇跡”の這い上がり
2022年育成ドラフト8巡目指名を受け、ホークス入り。しかし、入団直後にトミー・ジョン手術。順調に患部は回復へと向かいましたが、リハビリ過程で、投げ方が分からなくなったり、ボールを握るのが怖くて手が震えたりする”投球難”に陥った時期もありました。復帰への道のりは壮絶でしたが、1年4か月のリハビリを乗り越え、昨年マウンドに立つことが出来ました。
そして、育成3年目の今季、開幕から2軍で結果を残し、7月25日に支配下登録を勝ち取りました。倉野信次投手コーチ兼ヘッドコーディネーターも「よくあの状態からここまで成長したなと。相当な努力だったと思う。劇的な変化を見せてくれた」と感激するほど、宮﨑投手の支配下登録は多くの人の心を動かしました。
宮﨑投手も、ホークスでの思い出を「3年間、濃すぎて選べない」と振り返りますが、やはり支配下昇格の時の感動は深く心に刻まれています。
「ファンの方の声援は本当に熱かったです。1軍でも2軍でもいろんなところで声を掛けてもらって、ありがたかった」と感謝しました。

「1軍の舞台でまた会おう」かけがえのない仲間との約束
また、宮﨑投手にとって大きかったのは、同期の存在でした。「自分がトミー・ジョンでリハビリしている間に、同期が2人(木村光投手、前田純投手)支配下に上がった時は悔しかった。松本晴という存在も大きかった。同じ左で支配下で入ってきて、ああやって活躍して。野手の同級生の活躍もそうですけど、やっぱり『すごいな』じゃなくて『悔しい』でした。同期だけどライバル。自分もやってやるぞという気持ちになれました」と常に刺激を受けた存在です。
「自分が野球人としてレベルアップする上で必要な仲間でした」と感謝する同学年の選手たちからは、福岡を去る前に送別会を開いてもらいました。残念ながら、生海選手が来られなかったそうですが、福岡に残る同い歳の仲間たちと熱い時間を過ごしました。


そこで交した約束は「1軍の舞台でまた会おう」
宮﨑投手は「重松(凱人)も西尾(歩真)もこれだけ枠が空いたのはチャンスだって言っていたので、勝ち取って欲しいし、上の舞台で戦いたい」とお互いの健闘を誓いました。
何度も口にした”1軍の舞台”──。
今年、支配下登録を勝ち取りながら、1軍で2試合しか投げられなかったことへの悔しさが消えることはありませんでした。来季の構想から外れたことも、「僕の力不足」と受け止めていました。

「こんなに他球団から欲しがられる選手になれたのは、お前の努力だよ」
「1軍の舞台で投げ続けて、しっかり恩返し出来るようにやっていきたい」
その思いから、宮﨑投手はロッテ移籍を決断しました。ホークスの育成再契約を含め、複数球団からオファーが届いた左腕は、決断に至った思いを明かします。
「いろいろな球団の方からありがたくお声掛け頂きました。ホークスも視野に入れて、いろんな方に相談した中で、給料とかどうこうより、支配下というのと、やはり1軍でやり返したい気持ちが1番強くて。チームカラーも含め、自分が成長出来そうな環境を選ばせて頂きました。いっぱい悩んで決めたので、この道を正しかったと言い切れるように今まで通り泥臭く、全力で腕振って頑張っていこうと思います」
担当スカウトの松本輝さんにもこれまでたくさん相談しました。松本スカウトには「崖っぷちからここまで這い上がってきたことは本当に印象深い。ましてやこんなに他球団から欲しがられる選手になれたのは、お前の努力だよ」と声を掛けられたといいます。宮﨑投手も感謝を噛み締めた瞬間でした。

誰もが認める”努力の人”──。
ロッテの関係者にもその情報は既に届いており、「宮﨑の場合は、相当練習するって聞いているから、心配していないよ。怪我だけはしないでくれ」と言われたそうです。
引越し準備で2日間練習出来なかったことで「練習出来なさ過ぎてイライラしてました」と頭を掻くような男です。
宮﨑投手は「それぐらいやれないと勝ち取れないのがこの世界。それくらいやってもクビ切られるのがこの世界なので」とこぼしました。
改めて、厳しい世界であることを痛感しますが、宮﨑投手は全てを受け止めて次のステージへ。
ロッテといえば、今季ホークス2軍で指揮を執った松山秀明氏が1軍チーフ内野守備走塁コーチに就任。「いろいろとお声掛けて頂いて、話す回数も多かったので、相談しやすい方が移籍先にいらっしゃるのは支えになります。『しっかりやれや。またよろしくな』と言って頂きました」と笑みを浮かべました。
「しっかり輝けるように、一花咲かせられるように頑張ります」
宮﨑投手は、決意新たに福岡に別れを告げました。1軍の舞台でまた会える日を楽しみにしています。行ってらっしゃい!
