「THE LAST GAME 2025」──。
現役引退を決断したプロ野球選手のセレモニーを兼ねた“特別試合”が6日、北九州市民球場で行われました。
応援してくれたファンや支えてくれた家族に、最後の雄姿を見せる場所として、スカイA主催、日本プロ野球OBクラブ、日本プロ野球選手会の協力の下で開催されました。
昨年まで2シーズン、福岡ソフトバンクホークスでプレーした渡邊佑樹投手も出場しました。
試合前は、元チームメイトなど顔見知りの選手たちと楽しそうに談笑。スッキリとした穏やかな表情で、現役時代とはまた違う雰囲気でもありました。


攻守で笑顔が光った”最後の試合”
今回の「THE LAST GAME 2025」で、渡邊投手は「EAST HOPES」の「7番・左翼」でフル出場。
プロ野球での現役時代、1度も立ったことがない打席では、「球速すぎでした」と苦笑い。東北楽天ゴールデンイーグルス時代から2球団でチームメイトだった古川侑利投手との対戦には「楽しかったですね。他の人とは違う、何かがありました」と嬉しそうに振り返りました。


何より、投手ながら、マウンドには上がりませんでした。
出場が決まり、久しぶりにキャッチボールを行うと、肩に激痛が走りました。現役時代、全く痛くなったことのない肩が「軽く投げても痛かった」と悲鳴を上げたため、登板回避へ。野手としてフル出場することになりました。
ポジションを決める際、真っ先に左翼手に立候補したという渡邊投手。「なべ、1番ベンチから近い外野が左翼手だと思って、1番に手を挙げてたんですけど、アイツのベンチは一塁側でした」と古川投手が茶目っ気たっぷりに明かしました。
一塁側ベンチからは1番遠いポジションでしたが、高校以来だという野手としての出場を楽しんでいました。
「実は自信あるかもしれません」という守備で魅せたのは試合最終盤。左翼に飛んだ前方の打球に飛びつくように、身体を一回転させながら捕球するファインプレー!ピンチの場面で、チームの勝利に貢献するプレーが飛び出し、球場を沸かせました。「スタート遅れただけですよ。楽しく終われたので良かった」と謙遜しましたが、笑顔が光りました。



ところが、この時に左肩を負傷し、試合後に病院へ。「現役時代は1度もリハビリ組に行ったことないのに」と頭を掻きましたが、「いい経験させてもらいました」と笑って振り返ります。

渡邊が進む第2の人生
渡邊投手が現役引退を決めたのは、昨年オフ。ホークスを自由契約になり、期限を決めて他球団からのオファーを待ちましたが、連絡は来ませんでした。潔くユニフォームを脱ぎ、就職することを決めたのでした。
最後の舞台と分かった上で挑むことが出来たこの機会に「とても嬉しいです。ファンの方々や、妻にも見て貰える場を作っていただけた。この場を設けて下さった方々に感謝です」と穏やかな表情で振り返りました。
現役時代、クールな印象が強かった渡邊投手。「THE LAST GAME 2025」への出場を決めたことはちょっぴり意外でした。
「妻と相談して、意外に福岡は近いので、じゃあ行こうかと」と話しましたが、渡邊投手の現在の拠点は仙台。決して近くはありません(笑)
この日、スタンドから見守った妻は「最後の節目になる試合だと思ったし、福岡の地で開催っていうのもあって、是非出て欲しいなと思いました。福岡っていうのも縁かな」と目尻を下げました。
「妻も野球やってる姿を見たそうだったので。楽しんでくれたみたいでよかった」と渡邊投手。引退後に入籍した妻に背中を押されたこともあり、出場へと踏み切りました。
現在は、楽天時代を過ごした宮城県仙台市の「ソフトバンク株式会社 東北営業部」で働いています。主にデスクワークを行っているといい、「本当にまだまだ分からないことばかりで、毎日勉強しながら働かせて貰っています」と苦戦しながらも、社会人としての一歩を踏み出した1年を振り返りました。
ニコニコと笑顔が光った渡邊投手の「THE LAST GAME」──。未来に繋がる、特別な時間になりました。
