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たくさんの人を魅了する西尾歩真の”プレースタイル”

上杉あずさのスコアブック
公開日:2025.12.23

知れば知るほど魅力的な選手です。

2022年の育成ドラフトで福岡ソフトバンクホークスから13位指名を受け、岐阜の中京学院大学から入団した西尾歩真選手。巧みなミートセンスやフットワークが魅力の内野手で、今年が育成3年目のシーズンでした。

支配下昇格を目指し、キャンプから好調な滑り出しを見せた今季。自身でも期待感を感じながらのスタートでした。しかし、アピールし続けるのは簡単なことではありません。

「僕ら育成選手のシーズンって7月末までなので」

支配下登録期限の7月末が来るまでに結果を残さなければ、育成選手はある意味、そこでシーズンが終わります。西尾選手は「早く結果を出さないといけないのに、5、6月が自分でもパッとしなくて。7月は良い感じだったんですけどね。5、6月がもったいなかった」と今季を振り返り、悔しさを滲ませます。

その5、6月は2軍戦の出場機会も多くありませんでしたが、2か月でわずか1安打と苦しみました。

誰しも調子の波はあるものですが、限られた期限内で勝負しなければならない育成選手にとって、調子の波は命取り。上手くいかない日々に焦りも増しました。

精神的にタフになった1年

「今思うと、5、6月は考え過ぎていましたね」と振り返る西尾選手。「7月になったら、『もうええや』っていうか、割り切ってやれたんですよね」と考え過ぎず、思いっきりプレーすると、結果に繋がりました。

さらに、気持ちを楽にしてくれた”ライバル”の存在がありました。

「鋼のメンタルのかっちゃん(勝連大稀さん)がいたのでね。育成内野手で同じ立場だったので、ライバルですけど、かっちゃんが打ったら悔しいけど嬉しい。一緒に切磋琢磨してやってきたので、自分もあんな感じで頑張ろうと思えました」

どんな時も笑顔で野球を楽しみ、「なんくるないさー」の精神で6年も育成選手としてプレーし続けた1学年下の心強い”ライバル”の姿は、西尾選手の心を何度も救ってくれました。

二遊間のポジションには、支配下の期待の若手選手も多く、育成選手だとコンスタントに2軍戦に出続けることも簡単ではありません。

「イヒネ(イツア)もいるし、石見(颯真)も宇野(真仁朗)くんも怪我治ったらね。なかなか2軍で出られないけど、パッと出してもらった時に打てるように、準備はしっかりと。やっぱり準備ですよね」

自身の置かれた立場を理解しているからこそ、限られたチャンスをものにするべく覚悟を決めて、”準備”してきました。

7月頃から、試合前の打撃練習を終えると、1人トラジェクトアークで”追いバッティング”。「真っ直ぐを打つのが基本だと思うので、真ん中に来たら逃さないように、トラジェクトで速い真っ直ぐを打ってから試合に入るようにしていました」と打席があるかどうかは関係なく、毎試合入念な準備を心掛けました。

心も身体も準備が整った上で試合に挑めた7月は、2軍戦で打率5割。しっかりと結果を残してみせました。支配下登録は叶いませんでしたが、1つの自信になる時間でした。

「7月末を過ぎてからはずっと3軍でしたけど、そこはもう割り切って。やることは変わらない。7月以降、その良い感覚を持ちながらシーズン終了までやれたので良かった」

心身共にこの状態をスタートから出せれば、来年勝負出来るのではないかという一定の手応えを感じていました。

プロに入って変化した”プレースタイル”

3年目を終え、西尾選手の言葉の端々からは逞しさを感じます。そこには、プロの世界で揉まれながら掲げた”信条”がありました。

「落ち込むこともあるけど、そういうのは見せないようにしています。声出したりして、浮き沈みは見せないように。誰にでもあると思うんですけど、それを見せるのはカッコ悪いじゃないですか」

どんなときも元気を出してグラウンドを駆け回ってきた西尾選手。体調が悪い日や落ち込んだ日もあったといいますが、元気を出して、毎日変わらないように意識してやってきたのです。

しかし、プロ入り前は「全然そんなんじゃなかったですよ。あまり声も出さず静かに淡々とやる感じでした」と西尾選手は明かします。

変わるキッカケをくれたのは、本多雄一内野守備走塁コーチでした。当時、2軍担当だった本多コーチに言われ続けた「声を出せ」。

「1年目、本多コーチに『声出せ、声出せ』って言われて。最初は何の声を出したらいいのかも分からなくて」とかなり苦戦しました。しかし、この世界で生きていくため、殻を破って”声を出すプレースタイル”を追い求め、食らいついてきたのです。

「松山(秀明、前2軍監督)監督も『ピッチャーへの声掛けが大事だ』『それがホークスのいいところや』って言っていたので、積極的に声を掛けに行くようになりましたね」と”ホークスの色”に染まり、自らの場所を築くために戦ってきました。

プロ入り前からすると、自身でも大きな成長を感じていました。「声出すようになると、周りが見えるようになったんです。やっぱり大事ですね」と殻を破ったことで、選手としてひと皮もふた皮も剥けていきました。

筑後ではそんな西尾選手を応援するファンの方を多く見掛けます。「見てくれている人がいるなら嬉しいです」と照れ笑いしましたが、いつも真っ直ぐに全力でプレーする姿は、たくさんの人を魅了しているのです。

1月は昨年に引き続き、育成から首位打者へと這い上がった牧原大成選手の下で自主トレを行います。様々な経験をし、身も心も強く逞しくなった西尾選手の進化はきっとこれからも止まりません。

来季はスタートダッシュからの支配下奪取へ──。西尾選手の歩みに期待しています。

Writer /

上杉 あずさ『班長』

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