“愛弟子”たちの躍動を噛み締めました。
福岡ソフトバンクホークスの宮崎春季キャンプ。第5クール2日目の20日、今春4回目のA組紅白戦が行われました。
ここで、B組から育成選手たちが登板機会を得ました。育成3年目の藤原大翔投手、長水啓眞投手、2年目の岡田皓一朗投手、来日5年目のルイス・ロドリゲス投手です。
特別ルールで行われた紅白戦。藤原投手は4回に紅組の3番手で登板。最速155キロの直球でガンガン押していき、2回を投げて1安打無失点。野村勇選手や栗原陵矢選手、山川穂高選手ら1軍の打者を見事に抑えてみせました。
ベンチにいた柳田悠岐選手には「いいね、藤原〜」「えっぐいね〜」と威勢のいい声で迎えられました。

長水投手は初めてのA組参加でした。白組の4番手で6回のマウンドに上がり、無安打無失点。最速147キロをマーク。インパクトを残しました。

岡田投手も初のA組紅白戦でした。白組の5番手として6回に登板し、1回無失点。最速152キロの直球と、自主トレで師事した杉山一樹投手に教わったフォークで勝負しました。

ロドリゲス投手は、2つの四死球を出すなど苦しい場面もありましたが、最速154キロの直球と変化球も光りました。落ち着いて投内連携を見せるなど、気持ちのこもった姿でした。

「何も知らなかった」若鷹の”たしかな成長”
彼らの躍動を様々な首脳陣が喜んでいました。中でも、胸を熱くしていたのは奥村政稔2軍投手コーチ。
当日はB組投手陣を担当していたため、現場では見届けられませんでしたが、すぐに1軍の打者陣に様子を聞き、感想を求めました。「(今宮)健太さんや(柳町)達とかに聞いたら、『みんな良かった』って言ってくれましたよ」と嬉しそうに頷きます。
藤原投手の映像はすぐに確認したといい、「しっかり腕も振れていた。まあ、性格的にビビって腕が縮こまるタイプでもないけど、それなりに出来たと思う」と安堵しました。
見事な投球を披露した藤原投手を称え、「真っ直ぐって分かっていても打たれなかった。カーブが4球中1球しかストライク入っていないので、1軍クラスのバッターなら変化球は捨てていたと思うんですよ。その中でも真っ直ぐで刺せていたんでね」と目を見開きました。
山川選手からは真っ直ぐで空振りを奪い、真っ直ぐで二飛に打ち取ってみせました。「あんなの絶対真っ直ぐ張り張りで来てるでしょ。その中で刺せていたので、相当いい真っ直ぐいってたってことでしょ」と熱を込めました。
奥村コーチは藤原投手のことを振り返り、「1年目からポテンシャルあることは誰が見ても分かっていたけど、何も知らなくて。ちゃんとしなかったらダメになるタイプだと思っていた。変わったなと思えたのは、誰から言われるでもなく、自分から上沢(直之)のところに自主トレに行った時ですよ」と目を細めました。
「何も知らなかった」若鷹が、成長するために自分で考え、面識のない先輩に弟子入りをお願いした姿には、奥村コーチも成長を感じたといいます。まだ見ぬポテンシャルに期待は高まるばかりです。

「美味しい酒を飲みながら…」に滲む愛情
奥村コーチが「周りの目を気にしない強心臓。マイペース」と藤原投手のことを表現する一方で、長水投手のことは「アイツは気にしい。藤原とは全然違う。アイツの方が場に飲まれるタイプなので、心配だったんですけど」と気にかけていました。
この時点では、まだタイミングが合わず、長水投手の投球を確認できていませんでしたが、「でも、(周りの人達から)噂では回ってきましたよ。今夜、美味しい酒を飲みながら(映像を)見ようかな」とニンマリ。
岡田投手のことは、「アイツも相当、緊張しとったっすね。顔色真っ白やった。まぁ、何回か(こういう場面で)投げていけば大丈夫と思うけど」と頷きます。
まずは、貴重な舞台を経験した”愛弟子”たちを称えました。
「でも、ここからですからね。やっと名前を覚えてもらったところ。藤原は去年も(A組で)投げたけど、長水なんて『初めて見た』って言う人も多かったし」と奥村コーチ。大所帯のホークスでは、まずはやはり存在を知ってもらわなければなりません。そういった意味でも、非常に大きな一歩だったのです。
奥村コーチ自身、新米コーチとして最初に関わった選手たちが藤原投手や長水投手たち。「4軍から一緒にやってきたし、そりゃ思い入れもありますよ。今夜は良い酒が飲めそうですね」としみじみ語ります。
ただ、「ここからですよ!今年、まず2軍で投げていかんとね。Aに呼ばれただけで満足してしまわんように、しこたま釘を刺しときます」と力強く締めました。
頼もしいコーチとともに、まだまだ旅は続きます。もっともっと逞しくなった姿を楽しみにしています。
