昨季、2軍で台頭した育成選手の1人、藤野恵音選手。
育成4年目の昨季は、2軍戦に自己最多71試合に出場し、打率.249。内野手登録ながら、外野に挑戦した1年は、大きく成長したシーズンでした。
しかし、キャンプイン初日、藤野選手の姿は宮崎ではなく筑後にありました。
育成5年目の春季キャンプを、ファーム本拠地「HAWKSベースボールパーク筑後」で行われるC組で迎えました。
先月28日、球団のアプリで組み分けが発表されると、C組の欄に自身の名前がありました。「何かやらかしたっけな?何も心当たりはないけどな」と少し焦ったのが本音だったといいます。
「自主トレもしっかりやってきたし、去年の成績もプロに入って1番良かったですし、やってきたことには自信があったので、正直、何でだろうとは思ってしまいました」

不安な気持ちを抱いていると、ニュース等で藤野選手のC組スタートを知った中学、高校の恩師ら、応援してくれている人たちから続々と心配の連絡が届いたといいます。
「何か事情があるのではないか」「そうであって欲しいな」と願うような気持ちでいました。
救われた指揮官からの言葉
すると、1月30日の筥崎宮での必勝祈願の際、藤野選手は斉藤和巳2軍監督に呼ばれました。
「最初はC組だけど、しっかりやって、実戦始まったら呼ばれると思うから準備してこいよ」
藤野選手はその一言に救われました。やってきたことには自信を持ちながらも、やはり選手としては宮崎で2月を迎えたいもの。
「B組は人数が限られるので、最初は見ていない選手を見たいということでした。僕とシゲさん(重松凱人選手)は、筑後で調整して、試合が始まるくらいに呼ぶという話をして頂きました」と状況を知らされた藤野選手。
筑後ではコーディネーターやコーチ陣にも、同様の声を掛けられたといいます。どんな事情にしろ、”筑後スタート”という現実は選手にとって、喜ばしいことではありません。首脳陣も気に掛けて、様々な声を掛けてくれました。
「最初は少し焦ったけど、そう言われたので、やるべきことが明確になりました」と気持ちはすぐに実戦へと向きました。

気合いがみなぎる”自主トレの延長戦”
その表情に悲壮感などはなく、むしろ自主トレの”延長戦”に気合いがみなぎります。
2年連続で牧原大成選手に弟子入りした1月の自主トレでは、とにかく”量”にこだわってノックを受け、バットを振ってきました。WBCを見据える牧原大選手が、例年より早く身体や技術を仕上げるのにつられるように、黙々と練習してきました。
だからこそ、筑後で過ごすキャンプも、1月と変わらずやるべきことに向かって、自分で考えて練習に取り組みます。迷いやモヤモヤなどありません。むしろ充実感が滲んでいました。
以前は、自身でも”メンタル面の弱さ”を痛感していた藤野選手。今ではそんな脆さは感じられません。「実戦入ってすぐに結果を残せるように、筑後でやるだけです」と何とも頼もしい表情を見せてくれました。
オフに行われた現役ドラフトで、佐藤直樹選手が東北楽天ゴールデンイーグルスに移籍しました。藤野選手が狙うのは、その”枠”です。「自分的には直樹さんのようなタイプでいきたい。長打も打てて、守備や走塁からも行ける。走攻守揃った選手。そういう枠が空いたのは、僕にとっては大きいこと。そこに食らいついていきます」と”明確”なビジョンを描きます。
やってきたことに自信を持ち、目指す先がハッキリしている今の藤野選手は、逞しい限りです。立ち止まることなく、”その座”を勝ち取りにいって欲しいです。
