右肩の故障で昨秋からリハビリを続けてきた井﨑燦志郎投手が、背水のシーズンに決意を込めます。
2021年育成ドラフト3位で地元の福岡高校から福岡ソフトバンクホークスに入団した井﨑投手。
3月8日、3軍が参加した「薩摩おいどんリーグ2026」で実戦復帰。ここまで、3軍戦3試合に登板しました。
26日の日本経済大学戦では、2回1安打無失点。この日は持ち味の力のある直球で最速153キロをマーク。変化球を引っ掛けてワンバウンドになる球も少なくありませんでしたが、粘り強く無失点で切り抜けました。
試合後、井﨑投手は「今日はカーブとフォークをテーマにやって、カーブもストライク入ったし、フォークもいい球はあったんですけど、どっちも引っ掛けが多くて。カウントを悪くしてしまったし、(バッテリーを組んだ)盛島(稜大)にも迷惑かけてしまいました」と振り返ります。
それでも、「今日は失敗が多かったですけど、カーブやフォークでたくさんチャレンジ出来た。すごく叩きつけたりしたんですけど、試合で投げてみないとわからない。たくさん投げれたのはよかった」と充実したマウンドでした。
井﨑投手が思い切って投げられたのは、フェリペ・ナテル3軍投手コーチの言葉があったからでした。
「失敗してもいい。2軍、1軍で成功するための今だから。真っ直ぐがいいのはもうわかっているから、それ以外をどうするか。3軍では結果が悪くてもいいから」とフェリペ投手コーチは、結果を恐れずにチャレンジする勇気をくれたのです。
「結果はもちろん大事だけど、武器である真っ直ぐを生かすためにも変化球を磨く必要がある」とフェリペ投手コーチ。井﨑投手の課題克服に背中を押しました。

“球速”を求める意味
一方、持ち味の真っ直ぐでは、「球速が復帰してまだ153キロしか出ていない」と物足りなさを感じています。
「球速を求めてやるわけじゃないですが」としながらも、”速球派”としてアピールしたい思いがあるのは、春季キャンプから注目を集めた同世代の育成右腕の姿を見ているから。
「(藤原)大翔や岡田(皓一朗)さんとか、球速いピッチャーが目立つじゃないですか。だから、育成の中で特徴を作るためにも、球が速いに越したことはないと思う。速球派の先発になりたい。今年1番の目標が、平均153キロで投げられる先発になることなので、そのためにも最速は155〜156投げておかないと無理なので。やります」
そう決意を述べる井﨑投手ですが、重ねてきたトレーニングで手応えは感じています。
身体の状態は「5年間で1番いい」と頷き、「ジャンプ系やウエートトレーニングも前より良くて、155〜157キロくらい出そうな感じはあるんです。自分の身体の中ではまだズレというか、ギャップがある感じですが、でも、4月中には(最速を)出します」と力強く語ります。
身体のケアや強化には今まで以上に熱心に向き合います。これまでの4年間は、怪我に泣くことも多かった右腕。「次、怪我したら終わり」と背水の思いです。
昨オフに退寮し、一人暮らしを開始した井﨑投手。「寮出てから、食事も今までより気にして。ブロッコリー食べたりとか(笑)寮で当たり前に出てきた食事がないから、自分でちゃんと選ばないと。勉強しながら出来ているので、身体も状態いいし、体調も悪くないんだと思います」と胸を張ります。
基本的には自炊を頑張っているそうですが、「たまに実家に帰って、親のご飯食べたり」と地元福岡市出身選手ならではのエピソードも明かしました。

刺激になる”可愛いライバル”の存在
「アイツだけには負けたくないですね」と言うのは藤原投手のこと。
2023年育成ドラフト6位で飯塚高校から入団した藤原投手は、井﨑投手の2学年後輩。今春キャンプ中、A組と侍ジャパンの練習試合で登板機会を得ると、最速156キロをマークするなど強烈なインパクトを残した若鷹です。
井﨑投手は「球種も同じ感じなんですけど、分かりやすく言うと、ちょっと球速で負けているのでそこは…」と2学年後輩の春先のアピールを自身は筑後からチェックしていました。

そんな2人は、互いの試合前後にもよく連絡を取り合っているといいます。
「大翔、結構煽ってくるんです。試合前日には『明日、試合頑張れよ!見といてやるよ』とか言ってきて。試合後は『今日、球遅かったね』みたいな。ナメてますよね。でも、結構可愛いっすね、アイツ」と井﨑投手は藤原投手の素顔を明かします。
「今は大翔がいるから頑張れてるかもしれないっすね」と言うほど良い刺激をくれる”可愛いライバル”なのです。
そんな藤原投手に「そこが1番負けているかもしれない」というのがメンタル面。
「3軍戦でも緊張します」という井﨑投手に対し、ほとんど緊張したことがないという藤原投手。「たぶんアイツ、何も考えていないですよ」と特殊なメンタルを持つ後輩右腕のことを語ります。
春季キャンプからアピールを続け、一歩先を行く後輩ですが、「負けませんよ」と井﨑投手の大きな刺激になり、モチベーションも高めてくれているようです。
「一生絡んでくる」という”可愛いライバル”と、もっともっと上の舞台で共闘出来る日を夢見て、背水の5年目のシーズンへ挑みます。

