夢の自主トレに向けての”自主トレ”もずっと心が昂る幸せな時間でした。
来季3年目を迎える前田悠伍投手が、充実感たっぷりに振り返った”憧れの人”との練習。
憧れの人とは、前田悠投手が師事する大リーグのニューヨーク・メッツでプレーする千賀滉大投手です。1月に沖縄で千賀投手の自主トレに弟子入りすることが決まっている左腕は、”自主トレの自主トレ”として、12月3日からホークスベースボールパーク筑後で師匠とトレーニングを共にしました。
カギを握る「肩甲骨」 “悔しくて楽しい”自主トレのはじまり
前田悠投手は、9月に受けた左肘の手術の影響で午前はリハビリ組管轄で練習してきましたが、それが終わると、千賀投手とのトレーニングへ合流。共に弟子入りする大竹風雅投手と”千賀塾”を受講し、来年1月の自主トレにすんなり入れるように、身体の使い方を細かく学びました。

中でも、重点的に取り組んできたのが肩甲骨の使い方。前田悠投手も大竹投手も、共に「肩甲骨の位置が悪い」と千賀投手に指摘を受けました。肩甲骨を正しい位置に入れた状態で投げることを習得するために、トレーナーにも相談しながら身体を改革中です。
イメージとしては、「投げるときに肩甲骨が飛び出ていっちゃうので、それを下に引き止めて、そのまま肩甲骨が入った状態で投げられないと、下半身からの力が繋がっていかない」と前田悠投手は自身の言葉で現状を説明します。
下半身で生み出したパワーを最後のリリースまでしっかり伝えるには、指先に至るまでの体幹部、肩甲骨などで力をロスすることなく伝達しなければなりません。下半身から体幹、そして腕へと繋ぐ肩甲骨の重要性を学びました。
それを身に付けるためのエクササイズの1つが、自主トレ初日、千賀投手が前田悠投手らに教えていたドッヂボール投げ。野球ボールより柔らかくて大きいボールを”正しく”投げることでした。千賀投手は簡単に投げていましたが、前田悠投手も大竹投手もなかなか上手く出来ません。苦戦しながらも、繰り返し練習していました。

「野球ボールだと、スナップだけでも投げれちゃうけど、大きいボールは正しく投げないといい回転で真っ直ぐ飛ばないんです。肩甲骨を入れて投げる。胸郭とかもめちゃくちゃ大事で、いろんな要素が合わさって、やっとちゃんと投げられるって感じです」
前田悠投手は、千賀投手から学んだことを解説してくれました。上手く出来ず悔しそうでしたが、「めっちゃ難しくて、全然出来ないんですけど、それがめっちゃ楽しくて。毎日違う感覚というか、昨日できなかったことが2回、3回できるようになったとか、そういう収穫が面白いんです」とかすかでも確実に成長する毎日にワクワクしていました。
その後、千賀投手が持っていたドッヂボールと色も形も全く同じものをAmazonで購入。日々の練習の合間にも、ネット目掛けてドッヂボールを投げていました。

「今の投げ方やったら、絶対トミージョンなるよ」 受け止める指摘と危機感
とにかく根気強く、千賀投手から学んだことを習得するべく取り組みました。レベルアップするのはもちろんのこと、”危機感”も感じています。
「今の投げ方やったら、絶対トミージョンなるよ」
千賀投手から身体の使い方、投球フォームにおける課題を指摘されました。前田悠投手も自覚しており、「早くフォームを直さないと、今の練習も意味の無いものになってしまう。だから、常に野球のこと考えてやらないと直らない」。理想のフォームを手に入れるために、オフも時間を惜しみながら黙々と練習していました。
先日のテレビ出演時に、「趣味がない」と話していましたが、「今はなくてもいいですね。野球が趣味ですね」と改めて、進化のために全時間を野球に費やしたい思いを明かしました。
『背番号41』の先輩へ”ダダ漏れ”のリスペクトと愛
ある意味、これが”趣味”かもしれませんが、朝起きて読書をするのが日課だと話していた前田悠投手。とはいえ、この”趣味”も野球のためにやっていること。愛読書の中には、解剖学の本があります。
昨年、初めて会った千賀投手から解剖学を学んでいたことを聞くと、「やってみよう」とすぐに本を手に取ってみたといいます。人体の構造と機能などを学び、それを野球に繋げようと、少しずつ理解を深めてきました。憧れの人にいち早く近付けるようにと、野球のための行動も全て模範にしています。
遡ること1年前──。
チームメイトの田上奏大投手が繋いでくれた縁で、昨年12月に初対面した”新旧41番”。東京で3日間だけトレーニングを共にしました。前田悠投手は、「去年は初めて会うので、めっちゃ緊張してましたし、聞かれたことに答えるくらいしか出来なかったんですけど、今は何日も一緒に練習しているので、自分からもいけますし、何でも聞けます。知識もたくさん持っておられるから」とリスペクトしながらも貪欲に学び、少しずつ距離を縮めてきました。
言葉の端々から千賀投手へのリスペクトが”ダダ漏れ”の前田悠投手に、思わず「千賀さん大好きですね」と問いかけると、「大好きです」と満面の笑みで返してくれました。

メッツのTシャツとパーカーをプレゼントされたといい、初日の練習からすぐに着用。明らかにニコニコと嬉しそうな姿が微笑ましかったです。
「いやー、もう昂りますよ。めっちゃ嬉しかった。ずっと着ていたいです」と茶目っ気たっぷり。20歳らしからぬ頼もしさを持つ左腕が、一気に童心に返りました。

引き続き、千賀投手に師事する前田悠投手が、どんな進化を見せてくれるのか。今から期待しかありません。「背番号41のエース」が本拠地マウンドで躍動する日を心待ちにしています。
