左ふくらはぎを痛めてリハビリ組で調整する今宮健太選手が、苦しい胸の内を明かしました。
今月4日、みずほPayPayドームで行われたオリックス戦の守備中に左ふくらはぎを負傷。春季キャンプでも痛めた箇所の再発でした。翌日、出場選手登録を抹消され、8日にリハビリ組に合流しました。
現在、打撃練習や守備練習などを行っています。傍から見ると、打撃でも柵越を見せたり、走ったり、復帰も遠くないのではないかと感じましたが、本人は苦しい胸中を明かしました。

「何が正解か分からない」思わずこぼした弱音
離脱となった当初、今宮選手自身、最短の10日で1軍に復帰出来る気がしていました。「試合後、普通に歩けたから、10日で戻れると思っていました」と今宮選手。ところが、先週19日の練習後、今宮選手は「良くて今週の土日(20、21日に2軍戦で復帰する予定)だったけど、このままじゃ無理だと思います」と現実を受け止めていました。
「恐怖心が残っている」と明かすのは、遊撃の守備で”前にいく動き”。前回離脱した時も、”前にいく動き”の中で負傷しました。ふくらはぎを初めて痛めたのは5年前。以降、癖になっていた部分もありました。そして、知らず知らずのうちに、恐怖心も強くなってしまいました。
「まずは練習の中で出来ないと、より強度が上がる試合では厳しい」とまずは練習の中で恐怖心を払拭するべく取り組んでいる最中です。今宮選手は「思い切っていけば何とかなるのかな…でも、それでダメだったら、本当に今季が終わる…」。不安と怖さ、様々な感情で「何が正解か分からない。今、すごく悩んでいます」と思わず弱音をこぼしました。

先輩が語る遊撃手というポジション
現役時代、同じく遊撃手のポジションを守ってきた先輩、髙田知季2軍内野守備走塁コーチにお話を聞いてみました。髙田コーチは「先輩といっても、健太の方が上ですけどね」としながらも、自身の経験を元に語ってくれました。
「僕も足首を怪我してから、思うようなプレーができない時もありました。健太の場合はふくらはぎ。内野手として、特にショートは一歩目が大事なポジションで、ある意味、彼にとって武器。一歩目が思うように切れないというのはもどかしさも当然あると思います」と思いやります。
髙田コーチも当時は怖さと戦いながらのプレーでした。「足首の捻挫癖もありましたし、少しずつ不安を除いていくしかない。もう1回やってしまったら、もう仕方ないという割り切りや勇気が必要な時もある。誤魔化しながらやってチームに迷惑かけるなら、っていう思いは健太本人にもあると思うので」と親身になって話してくれました。
“遊撃手”は他の内野のポジションと比べても「全然違います。運動量が倍近く違います。他のポジションとの絡みも多いし、ストレス的なものも多い。ショートって誰もができるポジションではないと思うので」と髙田コーチの言葉からも蓄積された負担の大きさを感じます。

ホークスに欠かせない「ピース」
その強度の高い場所を、プロ野球という舞台で何年も守り続けてきた今宮選手。年齢を重ね、度重なる怪我を経て、今まで通りにいかない部分も増えたことでしょう。
あれだけの身体能力を持ち、ビッグプレーを何度も見せてくれた名手が「守れないと出られない。このままじゃショートは守れない…」と危機感を口にしました。
それでも、今宮選手の積み重ねてきた経験と実績、”リーダー”としての背中はホークスに必要な「ピース」です。大きな壁を乗り越えようともがきながら、挑み続ける今宮選手。その姿を見守り、無事に復帰してくれる日を心待ちにしています。