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「来年も野球続けられるのであれば…」地元球場で深めた決意

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公開日:2025.09.17
「来年も野球続けられるのであれば…」地元球場で深めた決意

9月13、14日にホークス4軍は九州アジアリーグ・北九州下関フェニックスと北九州市民球場で試合を行いました。

13日の試合前、声出しを行ったのは「凱旋、凱旋」と指名を受けた重松凱人選手でした。北九州市門司区出身、戸畑高校OBの重松選手。「北九州へようこそ」から話し始めると、「この球場は1軍の試合でも使う球場です」とみんなのモチベーションを鼓舞しました。

「1軍でも使う球場」に込める思い

重松選手は「高校時代に使っていた球場でもあり、ホークスを見に来ていた球場でもあるので、ホークスのユニフォームを着て試合していることに感慨深さというか、ちゃんとやってるなぁ、と思いました」と笑みを浮かべました。

しみじみと感じる部分もありますが、今季は悔しい3年目となりました。開幕から2軍で存在感を示し、好スタートを切ったシーズンに見えました。限られたチャンスの中で結果を残し続けることは簡単なことではありませんでしたが、必死に食らいつく姿が印象的でした。

そんな中、左手有鉤骨を骨折し、6月18日に手術。そこから約2か月、リハビリ生活となりました。

重松選手は「今年が育成3年目で、期限(を迎える年)を手術で勝負出来ずに終わったので、今季中に支配下になることは不可能になったけど…。来年も契約してもらえて野球を続けられるのであれば、1軍にいくことが常に育成選手のモチベーションになるので。そういうイメージづくりとか、モチベーションをしっかり持って戦おうという意味で、みんなにも言いつつ、自分にも言い聞かせました」と声出しに込めた思いを明かしました。

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「1軍も使う球場」でプレーすることに意味を持って挑んだ試合ーー。1戦目は2安打、2戦目は2本塁打含む3安打2打点の大活躍でした。これで復帰後14試合で5本塁打とパワーアップした姿を見せています。

復帰して思い出す”初心”

ちなみに、復帰後初本塁打は、3軍の関東遠征中の母校・亜細亜大学戦でした。「良い縁ですね。僕が4年生の時の1年生が今、4年生なので、後輩たちともいろいろ話しながら。監督さんは代わったんですけど、学生時代を思い出すような遠征になりました」と振り返ります。野球が出来ない期間を経て、母校や地元でのプレーが重松選手の原点を思い出させてくれました。

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8月中旬の復帰当初、手術をした左手は快方に向かっていたものの、それと反対の手首に違和感を感じていました。念願の復帰戦にもかかわらず、「本当に復帰していいのだろうか」と内心不安が残り、晴れない表情もあった重松選手。

「野球は本来楽しかったり、好きでやっているものだったけど、怪我の不安や痛みで楽しめない気持ちがありました。今はまだ100%ではないけれど、試合入ってきて、改めて野球面白いなと思えるようになりました。そこが1番にないと成長もないと思うので、大事にしたいと改めて思いました」と徐々に気持ちも晴れ、”初心”を思い出すことが出来ました。

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野球ができる喜びを感じると共に、やはりプロの世界で隣り合わせにあるのは危機感。「やっぱり育成選手は常に結果を求められるし、今とか特にドラフト候補の選手と比べられている時期だと思うので、自分が求められていることを全うする、一生懸命やることに尽きるかなと思います」と静かに頷きました。

制度上、育成選手は3年で1度自由契約になります。様々な思いを抱きながらも、与えられた場所で、今を全力で。重松選手は心身共にパワーアップした姿を見せてくれるはずです。

Writer /

上杉 あずさ『班長』