若鷹の「いま」に会える場所

若鷹応援メディア Bambies

森山さんへ感謝を込めて〜若鷹たちの想い〜

若鷹たちのBe.Real
公開日:2025.10.11

ホークスを退団することになった森山良二リハビリ担当コーチ(投手)。お世話になった「森山さん」にリハビリ組の選手たちがそれぞれの思いを語ってくれました。

トミー・ジョン手術からの復帰を目指している澤柳亮太郎投手は、「ずっと一緒にやってきたので、キツいっすね。森山さんいなくなるのは…」と言葉に詰まります。

澤柳投手は、術後9か月目までは順調にリハビリを重ねてきましたが、その後停滞し、苦しい時間を過ごしてきました。投げる指先の感覚さえ失っていたといいます。どんな時も寄り添い、明るくさせてくれた森山コーチは澤柳投手にとっても大きな存在でした。

「『人間万事塞翁が馬』って言葉を貰って。今の苦しいことも良いことに繋がる出来事かもしれないって話をして貰って。学びましたね」と頷きました。

この日、キャッチボールで力強い球を投げていた澤柳投手。「本当に2日前くらいから突然感覚が戻り始めて、良くなってきたばかりなんです」と嬉しそうに語ってくれました。ただ、その姿は森山コーチには見せられないままでした。

来季、躍動する姿を1軍のマウンドでーー。森山コーチは澤柳投手のモチベーションにもなる存在です。

画像

「森山さんの熱量を超えられる人なんているのかな」

同じくトミー・ジョン手術からの復帰を目指す長谷川威展投手は、「寂しいのもあるし、僕らの責任もあるかなって思って申し訳ないです」と肩を落としました。

「絶対『そんなことない』って言われるかもしれないけど…怪我人もたくさんいて、なかなか順調にいってない人もいたり、申し訳ない気持ちがあります」

思わず口にした”自責の念”。決してそんなことはないのですが、そう感じてしまうほど、落胆した様子が見受けられました。

「いつも多くは語らないですけど、『一喜一憂しない』とか『笑いの治癒力』とか。僕らの心情を理解した上でそういうこと言ってくれてるし、(寄り添う)努力してくれてるのも分かっていたので…」

手術を受けて、立ち上げるところからずっと見守ってきてくれた森山コーチ。「復帰まで森山さんがずっと見てくれると思っていました…。森山さんの熱量を超えられる人なんているのかなと思ってしまいます」。突然の別れを簡単には受け止めきれませんでした。

「締まりはしないですね。心が飽和状態というか、暗いです」と苦しい胸の内を明かします。それでも、「森山さんのことをリスペクトしているので、その熱量に応えるのが僕らの役割だと思う。礼儀として、しっかり復帰したい。それに見合った行動をしていきたい」と前を向きました。

画像

「泣いたら森山さんに失礼かな」ルーキーが込めた決意

育成12位ルーキーの熊谷太雅投手は、「1年目で、こんなお別れがあるなんて…。『明日ノックやるぞ』って言われてたのに次の日来なくて。リハビリ組のアップもみんな静かでした」と寂しそうに振り返ります。

長身の素材型左腕は、入団から怪我に泣き、ほとんどの時間をリハビリ組で過ごしています。プロの世界に入って、最も関わってきたのが森山コーチです。

「森山さんは選手思いで、しっかり1人1人見てくれる方で。僕も森山さんに見て貰えてよかったです。お父さんより年上だけど、話しやすかったし、”追いラン”とかも最後まで付き合ってくれました。森山さんがいる安心感がありました」としみじみ語ります。

「オシャレとピッチングは?」
「足元から!」
2人の”合言葉”は最後の挨拶でも響きました。

笑顔で挨拶を終えた熊谷投手でしたが、初めて目の前で痛感した厳しいプロ野球界の現実。「泣いたら森山さんに失礼かなと思って我慢しました。こういう世界なんだと知ったし、自分も育成なのでいつ切られるか分からない。まだ試合で投げられてもいないので、不安はあります。でも、森山さんに感謝を伝えられるように、頑張ります」と熊谷投手は決意を込めました。

画像

左肘の炎症でリハビリ生活を送る前田純投手は、「僕も球界3年目で、この時期になったらこういうことが当たり前になってきました。森山さんにも『一喜一憂するな』と言われてきたので」と静かに語ります。

1年目は森山コーチが3軍監督で、前田純投手が”3軍のエース”として2桁勝利を挙げるなど活躍。「あの時の3軍、めちゃくちゃ楽しくて明るかったですね」と”森山効果”を実感してきました。共に過ごした時間は長く、「いろいろ教えて貰いました。寂しい気持ちもありますけど、本当は今年、僕は森山さんにお世話になっちゃいけない年でした。次のステップにいかなきゃいけない時ですね」と受け止めました。

画像

右肘靭帯の怪我でリハビリを行ってきた津嘉山憲志郎投手は、「森山さんが言ってくれた『笑顔は世界の共通語』という言葉を信じてます」と笑みを浮かべました。

画像

森山コーチは、最後の挨拶でも『笑顔は世界の共通語』と力強く伝えました。選手たちの心に刻まれた素敵な言葉がたくさん聞こえてきました。

寂しさは拭えませんが、森山コーチはチームを離れても彼らのことを見守ってくれるはず。復帰を目指す選手たちにとっては、森山コーチに活躍を届けるというのが1つのモチベーションにもなっています。

選手たちの心を守り続けたリハビリ担当コーチ。2020年から3シーズン、1軍投手コーチを務め、23年は3軍監督、24年からの2シーズンはリハビリ担当コーチ。6年間過ごしたホークスで、多くの選手に慕われた”森山さん”。本当にありがとうございました。

Writer /

上杉 あずさ『班長』