第3クール初日の10日、C組から2人の投手がB組に昇格しました。6年目の田上奏大投手と4年目の飛田悠成投手です。
ここまでの筑後キャンプでの姿を見れば、納得の2人。投げるボールも、にじむ覚悟も、目を引くものがありました。
明暗分かれた”昇格テスト”
キャンプイン初日、大越基3軍監督は選手たちに訓示を述べました。そこで、C組の中から、第3クールに2名の投手がB組に”昇格”することを明かしました。選手たちはそれぞれ、C組スタートの現実を受け止め、胸にフツフツとした思いを抱いていたはず──。燃えないはずがありませんでした。
とはいえ、投手陣もそれぞれ立場ややるべきことが異なります。ルーキーは身体作りが優先されますし、2年目の投手は3月の3軍戦に合わせて仕上げるように言われているとのこと。
ということは、2つの椅子を争うのは、3年目以降の選手たち。7日のBP(打撃投手)が”最終テスト”という形になりました。登板した4投手の中から、選ばれたのが田上投手と飛田投手でした。
そこでは”明暗”が分かれました。大越3軍監督も「割と明らかだったんじゃないですかね」とアピールした2人の昇格を説明します。
さらに、「田上と飛田は、(宮崎では)大竹(風雅)がいいみたいなので、そこに負けじとやって欲しいですね」と発破をかけました。


首脳陣を唸らせた成長著しい20歳
ここまで筑後キャンプを取材する中で、多くの首脳陣やスタッフから名前が挙がっていたのが、飛田投手でした。大越3軍監督は、「飛田は著しく成長している」と今キャンプ序盤から語っていました。
中尾公則4軍ストレングス&コンディショニング担当も、飛田投手について、「こちらが言うことないくらいフィジカルが上がっている。平均以上です」と自主トレでバッチリ身体を仕上げてきたことを感じていました。
寺原隼人3軍投手コーチは、C組の中でも「(飛田は)抜けていた」と評価します。「ブルペンからすごく良い球を投げていました。去年までとストレートの質もだいぶ良くなっているのが見えていたので、BP投げる前から評価は高かったですよ」と頷きます。
「良い真っ直ぐとすごく良い軌道のカーブがある。そのコンビネーションが上手くハマれば面白い。真っ直ぐも今の時点で140中盤〜後半出ていた。去年MAXが150くらいで、いきなり2月に140後半。自己最速も出るんじゃないかなという期待も見えたこの前のブルペンでしたね」
そう語る寺原コーチも嬉しそうでした。飛田投手は、これまで2軍公式戦登板なし。3軍で登板を重ねる中、昨季途中から先発に挑戦し、経験値を積み上げました。
「今年も先発だと思う。投げる体力もある。でも、2軍上がっていきなり先発はないだろうし、最初は2軍に上がるためにしっかりやっていくしかない」と寺原コーチ。今持てる持ち味を磨き抜き、まず1つ掲げる目標は2軍デビューです。
「やれると思いますよ!僕はずっと見てきたので、期待も込めて、頑張って欲しいですね。去年との違いを見せて欲しい。トビ(飛田)は足も長いし顔もイケメンやから、活躍したら人気出るやろうね!」と目を細めました。宮崎キャンプで輝きを放ち、更なるアピールをして欲しいです。


乗り越えた困難と滲む覚悟
“最終テスト”となった7日のBP登板後、田上投手は「去年の今頃より全然良いです。BPなのでバランス重視でしたが、144キロ出ていたし、乱れた後の球ですぐ修正出来た。思ったより良い感じで、1つ安心しました」と順調さに手応えを感じていました。
寺原コーチも「本人も結構いい感じに投げられたと言っていたけど、それが当たり前になってもらわないと困る。あれが最低ラインくらいにならないといけない選手。でも、1回目のBPの割にはゾーンで勝負出来ていたんじゃないかな」と田上投手の立場と能力も踏まえ、こう語ります。
さらに、感じていたのは本人の”覚悟”。「今年にかける思いは、話していても伝わってくる」と頷きます。
田上投手はキャンプイン初日からブルペン入りし、精力的に腕を振ってきました。「支配下戻らないと始まらない。去年、2軍ですら投げていないので、キャンプ中にB組上がって、アピールして、まず見て貰えるように」と危機感を口にしていましたが、1つ掲げてきた短期目標を最初のチャンスで達成することが出来ました。
力強い直球が戻ってきた手応えもあります。そして、安定感を求めて取り組んできましたが、「自分のポイントを分かってきたのが良いところかな」と語ります。
2024年に「ランゲルハンス細胞組織球症」を患っていたことを公表した田上投手。”背骨が溶ける”症状が出るなど免疫系の希少疾患とされ、辛い療養、リハビリ生活を送りました。同年10月に3軍戦で涙の復帰を果たしました。しかし、昨年は肩の故障もあり、非公式戦17試合の登板にとどまりました。
「正直、ここ何年かはめちゃくちゃしんどかった」と明かします。様々な困難を乗り越え、「こうやってもう1年野球やらせてもらっている。今は開き直ってやるしかない。いい意味でバカになるというか。自信持って投げている人の方がバッターも怖いやろうし。『投げたら打たれへんし』くらいの気持ちで思い切ってやろうと。勘違い野郎みたいに。そう思えるようにやることはやって、勝負の時は自信持っていこうと思います」と意気込みました。


2人の”下克上投手”が、宮崎キャンプをさらに熱くしてくれることを願います。
