先日、福岡ソフトバンクホークスのファーム本拠地、「HAWKSベースボールパーク筑後」へ取材に行くと、「ホークススタジアム筑後第二」(通称:サブグラウンド)が耕されていました。

大掛かりな作業が気になり、グラウンドキーパー マネージャーの西山修平さんにお話を伺いました。西山さんは、2016年の同球場開業時からグラウンドキーパーとして筑後を彩ってきた職人です。聖地・阪神甲子園球場のグラウンド整備を請け負っている阪神園芸で培ったノウハウや経験を生かし、ホークスのファームを支えています。

毎年、この時期の恒例行事だという”掘り返し”作業。グラウンドは、下記イラストのように約15センチの石の層の上に約15センチの土が層をなしています。土は、粒子の細かい黒土と角張った粒子の砂が6:4の割合で混在しています。(この割合は季節やグラウンドによっても異なるそうです)

この日、行っていたのは、そのグラウンドの混合土を上から8センチ掘り返す作業です。


シーズン通して使っていると、土に水が通りづらくなってしまいます。水捌けの良いグラウンドを保つには、定期的に大掛かりな掘り返し作業が必要なのだそうです。
翌日以降、掘り返した土を固めていきます。グラウンドが均一な高さ、硬さになるようにバンカーで均して、ローラーで転圧する作業を2週間ほど掛けて繰り返します。
その中で、土の粘り気の強さを感じたといい、砂を足していました。粘り気が強いとは、保水性が高く、スパイクの裏などに土がくっつきやすい状態のことをいいます。砂を加えて混合率を調整し、水捌けを改善します。


実は、普段からグラウンド使用後は、毎回土を2〜3センチ掘り返し、バンカーで均して、ローラーで転圧する作業を行っています。一般的には、トンボをかけてグラウンド整備するイメージがあるかと思いますが、普段から土に爪を入れて、混合土を綺麗に混ぜ合わせ、入念なグラウンド整備が行われているのです。
日々グラウンドを使っていくと、粒子の小さい黒土が沈み、粒子の大きい砂が表面に上がっていきます。すると、水を通さない層が現れ、水を撒いても砂っぽかったり、風で砂埃が舞うようになります。地方球場などでは、日頃からこうしたメンテナンスが出来ていないことが多いため、グラウンドコンディションを保つことが難しいといいます。
日々の積み重ね、そして定期的な掘り返し作業を繰り返すことで、選手たちがプレーしやすいグラウンドとなり、イレギュラーも減り、プレーの質向上に繋がるのです。
来季も若鷹たちが、思いっきり練習出来る環境をつくるために、オフシーズンもグラウンドキーパーの皆さんはフル稼働です。
プロフェッショナルな”遊び心”
また、「HAWKSベースボールパーク筑後」内に素敵なスペースが生まれていました。

空きスペースが「ミニグラウンド」に変身していました。
「ここに使っているものは全て廃材です。コスト0、アイデアだけでやっています」と笑顔を見せた西山さん。使用済みのベースや人工芝を使って、「HAWKSベースボールパーク筑後」内を美しく、ファンの皆さんに視覚的にも楽しんでもらおうと、常に視野広く球場のことを考えているのです。
駐車場のスペースや室内練習場への通路も廃材の芝を活用して、素敵になっていました。


実は、今シーズン中にも、西山さんの素敵な”遊び心”がグラウンドを彩っていました。
「お客さんに楽しんで欲しい」

マウンドとバッターボックスをくっきり浮かび上がらせるように、色の違う砂を使ってコントラストをつけました。マウンド全体をボール模様のように彩ったこともありました。
「アメリカの球場のコントラストとかカッコイイじゃないですか!ボールパークって感じの。うちも『ベースボールパーク筑後』だし、たくさんのお客さんが来てくれるから、見え方というのはとても意識していますよ」
プレーに支障のない範囲で、遊び心を入れながら、”カッコイイ”ボールパークを目指しています。

「カメラ映りも意識します。もっと芸術性を極めて、遊び心を入れて、”エンタメ”を大切にしたい」と西山さんの飽くなき向上心で、日々アップグレードされていくのです。

プロ野球の舞台を彩るプロの仕事──。
キーパーの皆さんの仕事納めは本日、28日。グラウンドのみならず、窓やサブグラウンドの観客席なども綺麗に大掃除。筑後のことを語る上で、欠かせない存在です。
来季以降も「HAWKSベースボールパーク筑後」で汗を流すグラウンドキーパーの皆さんに、是非ご注目下さい。今季もお疲れ様でした。
