高卒1年目、日々メキメキと成長している楽しみなルーキーがいます。
昨秋、育成ドラフト6位で滋賀学園高校から福岡ソフトバンクホークスに入団した長﨑蓮汰投手です。187センチの長身から投げ下ろす角度のある直球と安定感のある変化球が持ち味。3年春にはセンバツに出場し、エースとして先発のマウンドにも立った”甲子園ボーイ”です。
伸びしろたっぷりな素材型右腕は、まずは身体作りからしっかり取り組み、数年後の覚醒を期待されました。
ところが、長﨑投手は良い意味で”期待を裏切る”成長曲線を描いているのです。
“実戦映えする”投手
実戦が始まり、デビューから6試合連続無失点。7試合目に初失点を喫しましたが、ここまで3軍戦8試合に登板し、1勝1セーブ、防御率0.75。12回を1失点と素晴らしい成績を残しています。
しかし、長﨑投手は「あんまり結果にはこだわらないようにしています。今結果を出そうと意識したら、上手くいかなくなると思うので。調子は上がってきているけど、プロの試合で投げてみて、今自分に何が足りないのか、試合の中で見つめながら、2年目に上手く繋げていけたらベストかなと思っています。成績にはあまりこだわらず、自分の引き出しを増やしていきたいです」と冷静に分析しました。
静かに足元を見つめています。


「ネガティブで心配性」という新人右腕。春季キャンプ中から、控えめなコメントが口をつきましたが、担当スカウトの古澤勝吾さんは、長﨑投手のことをこう語っていました。
「どの球種でもストライク取れて、自滅しないし、試合を作れる。凄くなさそうなのに抑えちゃうタイプ。実戦始まったら持ち味出ると思うので、見といてくださいよ」
古澤スカウトの言った通り、デビューから6試合連続無失点。練習では割と”静か”な長﨑投手ですが、実戦が始まると、一気に存在感を増してきたのです。
順調な成長に「お前にはもう言うことない」
しかし、古澤スカウトが懸念していたのは「球はそんな速くないんです」と球速面でした。最速145キロ右腕として入団してきましたが、「145キロなんて見たことなかったですよ!試合では130キロ台がほとんどでした」と振り返ります。
長﨑投手自身も、春季キャンプ中、「みんな球が速いので不安になりました」と漏らしていました。
「周り見てちょっと焦って、自分も球速上げていかないといけないなと。周りに話すと、『勝手に球速は上がっていくから大丈夫』と言われたけど、ちょっと怖い。本当に上がるのかなと不安になります。みんな球速いし、構えたところに投げるし。村上(泰斗)さんとキャッチボールしたら、めちゃくちゃ球が違ったんです」
“希望に満ちたルーキー”とは対照的に、心配性丸出しの長﨑投手。村上投手とのキャッチボールでは、「速すぎて捕れないです。1回、指とグローブ終わりました。内出血しちゃって」と1学年上のドラ1の先輩の球に気後れすることも。

そんなことを言っていた長﨑投手ですが、実戦が始まると、無失点投球のみならず、なんと自己最速を大きく更新する149キロをマーク!
これには、自らもビックリ。「投げた感じからもう違いました。高校の時と比べて、リリース時のボールの強さというか、放れていく感じが違った。球速出ているなという印象はあったけど、149キロも出るとは思わなかったです」と目を丸くしました。
もちろん、古澤スカウトも驚く成長っぷりでした。「古澤さんには、『お前にはもう言うことないから、このまま順調にやってくれ』って言われました」と笑いました。
「周りに影響されすぎない。自分のペースを見つけられたら、不安や焦りもほんのちょっとは消えるのかな」と周囲を意識しすぎないように、”心配性”な自分と上手く向き合ってきました。
春先、「楽しみ3割、不安7割」なんて”ネガティブ”を語っていた新人右腕ですが、こちらの楽しみは増すばかり。不安なんて吹き飛ばして欲しいですが、そのキャラクターもまた、味があっていいのかもしれません。成長著しいルーキーのこれからを楽しみに見守りたいと思います。
