この剥き出しの闘争心は、きっと”Xデー”を手繰り寄せてくれるはず──。
育成3年目の藤原大翔投手の評価がうなぎのぼりです。2023年育成ドラフト6位で飯塚高校から地元球団の福岡ソフトバンクホークスに入団した右腕。当初から高いポテンシャルを評価されていましたが、今年、”素材型右腕”は”戦力”として覚醒の時を迎えています。
オフに自ら門を叩いた上沢直之投手の自主トレで土台を築き、今季は2軍で開幕投手を務めました。ここまで6試合に登板し、27回2/3を投げて、防御率2.28。イニング数を超える32奪三振。高卒3年目右腕は著しい成長曲線を描いています。
4月29日のファーム・リーグ 千葉ロッテマリーンズ戦では、先発して6回1失点、8奪三振の好投でした。

今季初めて中6日で迎えた5月6日の同オリックス・バファローズ戦では、5回途中7安打4失点での降板となりましたが、4者連続含む7奪三振と持ち味を発揮。立ち上がりに連打を浴びるも、その後は冷静に修正してみせました。

奥村政稔2軍投手コーチも「(4/5の)ジャイアンツ戦くらいから身体キレてきて、ずっと良い状態できたけど、ずっと良い状態のやつはおらんけん。そろそろこうなる頃かなと思っていたところでの今日だった。全然(状態)良くない中でも、あれくらいで投げられたのは、悪いなりに良かった」と評価しました。
「打たれたから」ではなく、今後を見据えて球数でのイニング途中交代となりました。
とはいえ、今季初めて走者を残したままで、イニング途中での交代に「悔しかったです。投げ切りたかったです」と藤原投手は唇を噛みました。


フォームの安定性やマウンド上での修正力など、技術面で成長しているのはもちろんですが、今年の藤原投手には今まで以上の”闘争心”が滲みます。この熱い姿こそ、今季の藤原投手の成績にも繋がっているのではないでしょうか。
「なんで大竹さんなんですか」…剥き出しにした悔しさ
4月18日、大竹風雅投手が支配下登録されました。2軍で腕を振る育成選手の中で、1番乗りで”支配下の椅子”を掴んだのは大卒5年目、26歳大竹投手でした。
高卒3年目、20歳の藤原投手ですが、先輩の支配下登録に黙ってはいられませんでした。
18日の朝、ニュースで知った藤原投手は「普通に悔しかった」と苛立ちを見せました。
奥村2軍投手コーチには「大竹が支配下になったこと、どう思った?」と問われました。藤原投手は素直に「なんで大竹さんなんですか?」と悔しさを剥き出しにしたといいます。
すると、奥村2軍投手コーチには「お前はそれくらいの気持ちでいい。でも、焦るな」と諭されました。
しっかりと悔しさをあらわにした愛弟子の姿は、奥村2軍投手コーチにも”成長”を感じさせました。
「今までやったら、自分が支配下になる可能性があるとか思っていなかったと思う。藤原も自分がもう(支配下の)すぐそこまで来てるっていう意識は芽生えてきてるんやと思う」と自覚を感じたといいます。
藤原投手は、「いつも奥村さんに『もっと悔しがれ』って言われていたんです。試合で打たれたら悔しいけど、その場で終わっちゃう。(よく言えば)切り替えが早いのかもしれないですけど。すぐ切り替えられるので、『もっと悔しがれ』って怒られていました」と明かします。
そんなふうに言われていた右腕が、ここまで素直な感情表現をしたのも、支配下登録をより現実的に意識し、本気で取り組んでいるからこそ。

まだ20歳の将来性豊かな右腕。球団としても大きな期待を寄せているからこそ、大事に育てる方針も掲げていました。
先日、倉野信次投手コーチが「間違いなく、今年中にはデビューすると思うんですよ」と期待感を口にしました。起用法に関しては、「(先発、中継ぎ)どちらもあり得る状況ではあります。どっちというのは決めていない。藤原の成長とチームの戦力を両立させないといけない。チーム全体のバランスと彼の成長をしっかり考えながら」と説明していました。
ここまで2軍で6登板4先発と経験値を積み上げている段階ですが、当の本人は鼻息荒く、「先発でも中継ぎでもいいから早く支配下に上がりたい」と前のめりでした。
この強い闘争心は、間違いなく選手としての成長に繋がっているはず。
チーム事情的にも、若手にとってはまたとないチャンス。 気持ちもさらに熱く強くなった藤原投手が、支配下を勝ち取る姿を楽しみにしています。
