4月29日、ファーム交流戦の千葉ロッテマリーンズ戦(タマスタ筑後)。育成2年目の津嘉山憲志郎投手が、公式戦デビューを果たしました。
出番は同点の9回に巡ってきました。先頭打者に初球安打を許し、犠打で一死2塁のピンチに。ここで、1軍で4番も務めた安田尚憲選手を迎えると、ストレートの四球。一死1、2塁とされるも、続く高部瑛斗選手を三直、岡大海選手を6球粘られた末に空振り三振に仕留めました。この日の最速は151キロ。1回1安打無失点でした。

津嘉山投手の初登板が気になり、3軍戦終了後、一塁側カメラ席へと駆け付けた大越基3軍監督は「マウンドさばき、かっこいいな。コイツは1軍いきますよね」と優しい目で見守りました。登板後は「良かった、良かった」と満面の笑みでした。

堂々たる初登板でしたが、試合後の津嘉山投手は「なんか微妙なデビューでしたよね」と笑って振り返ります。無失点ではありながらも、「髙橋(隆慶)さんのファインプレーがなければ、厳しい状況だった」と苦笑い。
それでも、初登板でいきなり1軍実績ある選手たちと対戦しても、普段通りのマウンドさばきを見せた19歳。ブルペンでは緊張したといいますが、「マウンドにいくと自分を保てていましたね」と頷きました。
力のある最速152キロの直球とフォークが軸。初登板時は、スライダーの精度に課題を口にしていましたが、現在は考え方が変わったようです。
「今はそんなにスライダーに執着しなくていいかなと思っています。僕がいく場所はワンポイントになるので、良いところで良い球を。真っすぐとフォークでいって、スライダーが低めに引っかかるんだったら、それをフィニッシュに持っていけばいいだけなので」と分析。マウンドでの1球1球を丁寧に腕を振ってきました。
この日も2球種で勝負。「真っ直ぐ、フォークのピッチャーだとバレた分、もっと厳しくいかないといけないな、っていうのがあったので」と捕手のサインに首を振ったり、駆け引きを入念に行いながら、打者と勝負しました。
1軍クラスの打者は「振ってくれないっていうか、『そこに投げたら打たれそう』っていう雰囲気がありました」とプロのレベルを肌で体感。だからこそ、「しっかりその1球を決めきる練習をしないといけない。3軍でも自分を昂らせて、追い込んで、厳しいところに投げていく練習をやった方がいい」と課題を掲げました。

3軍で”無双”も勝負は来年以降
神戸国際大付高校時代、早くから注目された”逸材”は、2年夏に右肘を痛め、秋にトミー・ジョン手術を受けました。そのため、3年時の登板はありませんでしたが、高いポテンシャルを評価され、2024年の育成ドラフト7位でプロ入り。
プロ1年目は、術後の影響なども残り、ほとんどをリハビリ組で過ごしました。そのため、2年目の今季が”実質1年目”ですが、3軍戦でここまで7試合に登板し、無失点投球を続けています。
さらに、驚くべきは7イニングで14個の三振を奪っていること。投球回こそ多くはありませんが、まさに”ドクターK”っぷりを発揮。

当初は「去年投げていないので、まずは投げられるところを見せて、後半戦2軍に上がりたい」と目標を語っていた津嘉山投手ですが、思ったよりも早くたどり着いた2軍戦のマウンド。
取材していても、素晴らしいパフォーマンスに、早期2軍昇格や高卒2年目での支配下登録を期待せずにはいられませんでしたが、当の本人には、はやる気持ちなどありません。
それは、術後であることを冷静に受け止めているからでした。「今年はたぶん無理ですね。投げるイニング数も他の選手より少ないので」と球団からの”考慮”を感じていました。
川越英隆コーディネーター(投手ファーム統括)は「3軍では数字を見てもわかるように、しっかり投げていた。評価した上で、レベルが上がった時にどんな投球をするのかなと、成長のための経験を」と2軍戦デビューの経緯を語ります。「9回同点という場面でも、物怖じせずに投げていた。その姿は2軍に来ても変わらなかったし、楽しみな選手」と目尻を下げました。
ただ、やはり球団としても肘の故障明けであることを考慮。登板後の反動も見ながら、登板間隔やイニング数を調整し、大事に育てていく方針であることを明かしました。現実的に見据えるのは来年以降とのことですが、「定期的に2軍で投げさせていきたい」という言葉からも期待の高さがうかがえます。
津嘉山投手は「とりあえず今年アピールして、来年は宮崎(キャンプ)行って、いいスタート切れればいいかなと思っています」と足元を見つめていました。
大越基3軍監督は「1軍の勝ちパターンで投げるという目標に向かって、強い気持ちでプロに入ってきている。強い気持ちを持っている人は伝わってくるけど、それを持っているのが津嘉山」と熱を込めました。プロの世界で大きな花開かせるため、大事に一歩一歩、歩みを進めていきます。
