福岡ソフトバンクホークスは8日、育成3年目・藤原大翔投手の支配下登録を発表しました。
2023年育成ドラフト6位で飯塚高校から地元球団に入団した藤原投手。当時は、公称177cm68kgと細身ながら最速149キロのキレのある球が魅力で、伸び代を大いに期待されてのプロ入りでした。現在は体重も75kgまで増え、身体の厚みも増しました。最速156キロとなった直球を軸に、カーブ、スライダー、チェンジアップといった変化球を操り、2軍で結果を残してきました。
支配下登録会見に同席した三笠杉彦GMは「将来的にホークスを背負って立つ可能性のある選手として球団としても期待しておりましたが、1軍で活躍できるレベルにあると判断し、今日付けで支配下登録させて頂きました」と説明。
藤原投手は「嬉しい気持ちが強かったです。3年目が勝負と分かっていたので、順調に来られてよかったです」と笑みを浮かべました。

1番に報告した”球界の親”
この吉報を最初に伝えたのは、斉藤和巳2軍監督と奥村政稔2軍投手コーチ。家族よりも先に報告したという2人の恩師は、プロ野球選手としての自分を育ててくれた”球界の親”のような存在──。
「入団したときから4軍、3軍、2軍とずっと一緒にやらせてもらって、1番お世話になりました。そのお陰で今日やっとスタートラインに立てたと思っているので、1番に連絡しました」と藤原投手は感謝の思いを明かします。
斉藤2軍監督は、藤原投手のルーキーイヤーに4軍監督を務めました。奥村コーチは、藤原投手がドラフト指名を受けた2023年シーズン限りで現役を引退し、翌年から4軍投手コーチに就任。新米コーチも藤原投手と同じ”ルーキー”として、1年目から共に歩んできました。


担当コーチとなった奥村コーチは、「ポテンシャルだけ」でプロの世界に入ってきた藤原投手を1から鍛え上げました。
「1年目は、ポテンシャルあることは誰が見てても分かるけど、何も知らなくて。ちゃんとしなかったらダメになるタイプだと思った。喋り方もそうだし、どういうつもりで何考えて投げているのか聞いても『分かりません』っち。ただ投げているだけでした」と奥村コーチは振り返ります。才能溢れる若鷹を大事に預かり、愛情と厳しさを持って接してきました。
そんな藤原投手も、3年目の今季は、春季キャンプ中の紅白戦で主力選手を相手に堂々たる投球を見せたり、侍ジャパンとの壮行試合で快投し、全国にその名を轟かせたり。2軍の開幕投手に任命され、ここまで2軍で結果を残してきました。

奥村コーチは「1番変わったなと思ったのは、誰から言われるでもなく、自分から上沢(直之)のところに自主トレ行った時ですね」とチームのエースに自ら師事した姿に、大きな成長を感じたといいます。
1年目からずっと近くで見てきたからこそ、藤原投手の成長は誰よりも知っているはず。一方で、まだまだ鍛えなければならない一面も理解していましたが、1軍の状況も相俟って、愛弟子の”来る日”が近付いていることを奥村コーチは感じていました。
「アイツも考え方とかだいぶ良くなったし、1軍で早く見てみたいけど、まだ心配の方が勝つ。親心ですかね」と目尻を下げました。
もっともっと伝えていかないといけないことはあるけれど、巣立ちの時が訪れました。

“奥村組”からの支配下第1号。
「藤原たちが入ってきた時に、自分もコーチとして4軍から一緒にやってきたから、そりゃ思い入れもある」と話していた奥村コーチは、「本当に嬉しいです」と喜びを噛み締めました。
藤原投手は、奥村コーチに報告した時の様子を明かします。「最初に『おめでとう』と言われて、『1軍上がってもアップから声出せよ。出さんかったら知らんけんな』と言われました」とニヤリ。電話越しでも奥村コーチが喜んでくれていることが伝わってきたといいます。

受け継ぐ登場曲で「泣かせます」
プロ2年目から、登場曲は玉置浩二の『田園』。奥村コーチが現役時代に使っていた登場曲です。
奥村コーチは「去年、アイツが2軍行った時に流れたらしくて、周りから聞いて知りました。粋なことするなぁと思いましたよ」としみじみ。
支配下登録されて、1軍本拠地初登板する時には、「『田園』流して、奥村さんを泣かせます」と力強く語っていた藤原投手。
それを伝えると、奥村コーチは「『田園』流れたくらいじゃ泣かんよ(笑)大事なのは、その後の姿。マウンドで堂々としてくれとったらそれでいい。オドオドした姿とか、それで勝っても嬉しくない。打ち込まれてもいいから、堂々とした姿を見たい。結果は二の次。勝てればそれが1番やけどね」と優しい表情で語っていました。
これまで奥村コーチからたくさんの言葉をかけられた藤原投手ですが、はっきりと心に刻まれているのは「お前らには期待しちょうけん」。そんな激励も、ここまでの藤原投手を支えてくれたはずです。

新たなスタート地点に立った20歳。1軍デビューも近付いています。奥村コーチは「支配下本当におめでとう!こっからがスタート!初登板は緊張すると思うけど堂々と楽しんで投げてこい!」と改めてエールを送りました。
『田園』と共に上がる真っ新なマウンドで、躍動する姿を楽しみにしています。
