若鷹の「いま」に会える場所

若鷹応援メディア Bambies

「俺、このままでいけるんかな」…新人右腕が戦ってきた不安と大きな経験

若鷹たちのBe.Real
公開日:2026.04.08

「俺、このままでいけるんかな」

開幕1軍を掴んだルーキーは、人知れず不安と戦ってきました。

2025年ドラフト2位で九州共立大学から福岡ソフトバンクホークスに入団した稲川竜汰投手。

「ストレートの威力は一級品」と評された本格派右腕は、春季キャンプをB組でスタートするも、最終クールでA組昇格。オープン戦では、自己最速を3キロ更新する155キロをマークするなど、存在感を示し、開幕1軍入りを果たしました。

ところが、開幕を目前に控えた3月下旬、稲川投手の胸中は”不安”に襲われていました。

「開幕前、迷子になってしまって。『俺、このままでいけるんかな』ってずっと不安で、いろんなことを考え過ぎてしまいました」

新人合同自主トレから開幕まで”勝負の世界”をひたすら走り続けてきました。新たなステージでの挑戦の日々──。考えれば考えるほど、不安が渦巻いていったのです。

環境の変化や疲労も重なり、心身のバランスが崩れ、その不安があらわになったのが、プロ初登板。

4月1日、東北楽天ゴールデンイーグルスとの3連戦の2戦目(楽天モバイル 最強パーク宮城)。6-0と6点リードした展開で、4番手として9回のマウンドに上がりました。

稲川投手は制球が定まらず、先頭打者に四球を与えると、2つの暴投で1失点。2つ目の四球を出したところで交代を告げられました。1回を完結させることが出来ず、ほろ苦いデビュー戦となりました。

試合後、2軍降格が決まりました。

迷路を彷徨っていた右腕は、「考え過ぎたのが良くなかったんですけど、(初登板の結果は)そりゃそうやなって」と振り返ります。冷静になって心身の状態を鑑みると、妥当な結果だったと受け止めました。

「失ってしまった」感覚を取り戻す時間

その後、関東遠征中だった2軍に合流し、川越英隆コーディネーター(投手ファーム統括)と現状や今後の方針を話し合いました。そして、2軍本体を離れて筑後へ。

試合から離れて、「失ってしまった」と明かす本来の感覚を取り戻す期間を設けることになりました。

ここまで考え込んだのは、野球人生でも初めての経験だといいます。稲川投手は、「(大学時代も悩むことは)多少あったけど、ここまできたのは初めて。どうやって投げとったかなって。だから、ちょっと怖い」とこぼします。

明るく陽気なキャラクターにも見えますが、「結構、繊細かもしれません。いや、繊細になっちゃったのかもしれませんね」と明かすのは、野球が”職業”になったから。

プロとしての自覚を強く持っている証でもありました。「今までが考えてなさ過ぎたので、悪いことではないかもしれない」とこの世界で成長していくためには必要な経験だったのです。

悩んで、考えて、迷って……初登板という大事なマウンドで悔しい経験をすることになりましたが、現実を受け止め、今一度、自分と向き合える良い時間を過ごしています。

登録抹消から約1週間が経ちました。大学時代に手術をした膝の強化と、肩周りの機能改善などに取り組んでいます。

稲川投手は、「ちょっと楽になりました。今やっている感じだと、ちょっとずつ取り戻せてはいるので。焦らずやれば大丈夫かなって。感覚も良くなってきています」と明るい表情を浮かべました。

川越コーディネーターは「壁にぶち当たるのは早すぎたけど、自分の能力はまだ少ししか出せていない。なるべく早くまた試合で投げられるように」と期待を込めました。

まだまだ始まったばかりのプロ野球生活。この経験を早い段階で出来たことをプラスに捉えて欲しい。いつか大投手になるための、”大切な経験”として心に刻み、再び積み上げていく姿を見守りたいです。

Writer /

上杉 あずさ『班長』

Pickup /

ピックアップ記事

Sponsor/

スポンサー

View More