“プロ初失点”は、次のステップに進むための大事な経験となりました。
3軍戦で好投してきた福岡ソフトバンクホークスのルーキー、北斗(大山北斗)投手。昨秋、育成ドラフト8位で中央大学の準硬式野球部からプロ入りしました。準硬式で最速152キロをマークした素材型右腕です。
ここまでは3軍戦で登板を重ねてきました。最初の4試合は中継ぎで、4月7日には初先発。この5試合で11イニングをわずか4安打に封じ、無失点投球が続いていました。四死球も2つのみで、11奪三振と安定感もワクワク感も満載でした。
ダイナミックな投球フォームから力強い直球と多彩な変化球を繰り出す右腕。もう少しゆっくり見ていたいくらいテンポよく、あっという間に仕事を終える──。そんなルーキーを「早く2軍で投げさせて欲しいな」と思いながら見ていました。

厳しさを知った”まさかの初失点”
そして、先発として2試合目となった15日の四国IL・高知ファイティングドッグス戦。
初回はいつも通りテンポよく三者凡退に打ち取ったのですが、2回でした。先頭打者の相手4番に先制本塁打を浴びたのです。甘く入ったスライダーを豪快に左翼へ持っていかれました。
6試合目にして、”まさかの初失点”は本塁打で刻まれました。無失点継続中だったことを「意識していた」という右腕は、「ホームランを打たれた後に切り替えられなくて、アップアップになってしまった。引きずってしまいました」と動揺したことを明かします。
本塁打含む3連打を浴びるなど、この回だけで6安打4失点と打ち込まれました。決して状態が悪かったわけではありませんでしたが、上手く切り替えられなかったことを悔いました。
「ホームランを打たれるとは思わなかった。バットの先っぽだったので、『これで入るの?』と思っちゃいました。4点も取られるとは…。この世界の厳しさを知りました。失投を見逃してはくれないですね」
北斗投手は登板を振り返り、現実と向き合いました。
「(無失点を)意識していたけど、たまたまだと思うようにもしていました。もちろん、独立リーグのチームは強いんですが、これまで無失点でいけたので、『抑えられる』と思っちゃっていた自分もいたかもしれません」
慢心があったわけではありませんが、一定の手応えを感じていたのも本音でした。だからこそ、本塁打に動揺した部分もありました。
自分を見つめ直す、良い”失敗”といえる貴重な経験になりました。

「甘くなかった」…受け止めた課題
試合後、バッテリーを組んだ大友宗捕手と話し込む姿がありました。大友捕手には「ツーストライク追い込んだ後、スライダーを低めに投げ込む練習をした方がいい」ということや、「乱れた時にカーブでバランス整えて、立て直す引き出しもあった方がいいんじゃないか」などと助言を貰いました。
9種類の持ち球がある北斗投手ですが、この日投じたのは、ストレート、スライダー、フォーク、ツーシーム、チェンジアップ。「カーブもあるけど、試合で使えるほどの自信はなかったので、ブルペンで練習していかないといけないです」と早速、女房役の言葉を受け止めました。
「今日は良い課題が出ました。早く2軍で投げたいと思っていたけど、甘くなかったですね」と試合後には反省し、課題を掲げ、次に向けて前を向きました。

まだ3軍で6試合目の登板だったルーキーに”まさかの失点”と表現するのは、能力を買いすぎだと思われるかもしれませんが、それくらい点を取られる気配がなく、期待値の高い姿を見せていたのです。
準硬式野球部だった大学時代を思い返しても、「失点したのはたぶん1年ぶりくらい」というある意味、貴重なシーンを見ました。
ボールが異なる準硬式からのプロ入りということを考えても、早々にポテンシャルを発揮し、順調すぎるくらいにステップを踏んでいる右腕。さらに段階を上げていくうえでも、今回の初失点、初黒星は大きな経験になったはず。
寺原隼人3軍投手コーチも「投げることに関して器用で、とにかく真面目」と評価するルーキーは、これからも着実に成長していくことでしょう。引き続き、北斗投手がレベルアップしていく姿が楽しみです。
