23日、アレクサンダー・アルメンタ投手が支配下登録を掴みました。
2022年3月、メキシコ共和国から17歳で来日して福岡ソフトバンクホークスに育成選手として入団した左腕。
5年目の今季は、春季キャンプでA組に抜てきされ、”支配下候補筆頭”と注目を集めました。初めてメキシコ代表入りし、出場した3月のWBCでは、自己最速となる159キロをマークするなど存在感を示しました。
その後、右腹斜筋を痛めて3月下旬からリハビリ調整となっていましたが、5月5日に2軍で実戦復帰。ファーム・リーグのオリックス・バファローズ戦で、2回を完全投球。最速157キロをマークしました。
中6日となった12日の3軍戦で”今季初先発”。そして、再び中6日で迎えた19日には2軍戦で先発し、4回3安打1失点。5奪三振、最速155キロでした。真っ直ぐ、変化球ともに手応えを感じた左腕は、「良い投球ができました。いずれこれが支配下に繋がれば…」と語っていましたが、いよいよその時がやって来ました。

成長に繋がった”出会い”
4年目の昨季、徐々にその名を轟かせ始めたアルメンタ投手。大きな成長を手繰り寄せてくれたのは、ホークスでの”出会い”でした。
「彼と共に歩んだことで成長出来た」と感謝するのは、フェリペ・ナテル3軍投手チーフコーチです。
ブラジル出身で17歳の時に来日し、社会人野球の強豪・ヤマハで18年プレーしたナテルコーチ。最後の2年はコーチも兼任。プロ未経験ながら”異例”のプロ野球の舞台でコーチ就任となりました。若くして来日した経験を踏まえ、異国の地でプレーするホークスの若手外国人投手のサポート役としても大きな役割を期待されました。
アルメンタ投手は、「ナテルコーチがチームに加わって、彼がいろんなことを教えてくれて、僕を助けてくれた。彼と共に歩んだことで成長出来た」と語ります。
3月のWBC、メキシコ代表はナテルコーチがベンチコーチを務めたブラジル代表と対戦。そこで登板したアルメンタ投手は、最速159キロをマークしながら3奪三振と、大舞台で成長した姿を見せました。

その後、怪我による離脱はありましたが、今月マウンドに戻ってきた左腕の姿を「またひと回り成長して帰ってきたなっていうのは感じました」とナテルコーチは目を細めました。
今年のアルメンタ投手について「フォームにブレがないですね」と頷きます。これまではリリースの安定性や体幹のコントロールに課題があるとされていましたが、オフに意識して課題克服に取り組んできた成果が、春先から表れていたといいます。
アルメンタ投手は信頼するナテルコーチと取り組んできたことを、継続してやり続けてきたのです。

“二人三脚”の原点
しかし、この師弟の”信頼関係”も、最初からあったわけではありません。
アルメンタ投手といえば、シャイな一面もあり、ラテン系の外国人選手の中でも、あまり陽気さが表に出るタイプではありません。
ナテルコーチでも、「最初から距離が近かったわけではないです。むしろ2、3ヶ月かかりました。人見知りっていうよりかは、なかなか自分を出すには時間がかかるタイプでした」と振り返ります。
キッカケとなったのは、昨年5月の4軍戦。
アルメンタ投手が初めて先発した熊本での一戦でした。先発としての準備の仕方が分からず、迷いがあった左腕に、ナテルコーチは声を掛けました。
「『どういう風に過ごすの?』って聞いたら、『分からない』と言うので、『じゃあ、こうしてみたら?』と準備の仕方を提案したんです。そしたら、それがハマってくれて、その日いいピッチングをして。それをキッカケに、なんだかグンと距離が深まった感じですね。少しずつ信頼してくれるようになりました」
ナテルコーチは嬉しそうにその時のことを明かします。
以降、アルメンタ投手はナテルコーチを頼り、よく質問するようになったといいます。より一層、頼れる存在ができたことで、多くのことを学び、成長に繋がりました。

さらに、ナテルコーチが大きな変化として挙げたのは、身体のことでした。「1番変わったのは、体組成や筋肉量。体脂肪率とか大きく変わりました。前年までと、明らかに変わったんです。もう全然違いますよ。筋肉量は結構上がりましたし。その辺りの取り組みが、めちゃくちゃすごかった」と賛辞を送ります。
入団時から体重は10キロ増え、筋肉量も10キロ以上増えたといいます。さらに、トレーニングや食事にも関心を持ち、サプリメントや栄養の摂り方も自ら学んで実践してきました。
アルメンタ投手も「ナテルコーチから身体の準備の大切さを学んだ。食事やウエートも大切だし、どうやって試合に向けて身体を準備していくかを教えてもらいました」と語りました。
支配下登録が決まると、3軍遠征先の韓国にいるナテルコーチにすぐ連絡をしました。「去年からいろいろと支えてくれてありがとうございますと伝え、1軍に上がることを報告して、お礼を言いました」とアルメンタ投手。
ナテルコーチは「ホッとしました。これからだと思いますが、昨年(支配下を)逃した時の彼の絶望感を近くで見ていたので…」と安堵し、喜びをかみしめました。

アルメンタの素顔
ナテルコーチが語ったように、「自分を出すには時間がかかるタイプ」。あまり取材対応も得意ではないというアルメンタ投手ですが、時間を掛けて人間関係を築けば、陽気でお茶目な姿もみせます。
ルイス・ロドリゲス投手、ダリオ・サルディ投手と外国人投手3人の中では「結構ふざける方なんです。ジョークも多いし、明るいですよ」とナテルコーチ。
苦楽を共にしてきた日本人選手らとは、若鷹寮でちょっかいを出し合ったり。ホッコリするような場面も、年々目にする頻度が増えました。
これからの活躍で、もっともっとアルメンタ投手の素顔が見られますように。ナテルコーチと共に歩んだ日々を大切に、1軍で躍動する姿を楽しみにしています。
※若鷹応援チャンネルBambiesでは、アルメンタ投手のインタビューを近日公開予定です!お楽しみに!
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