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笹川吉康は進化の真っ最中

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公開日:2026.08.03

進化の真っ最中だ──。

この先に”覚醒”を見られるのではないかと期待せずにはいられません。新たな姿で、2軍で連日安打を重ねている笹川吉康選手。

オールスター前は10試合連続安打。前半戦最後の試合は途中出場の1打席のみで、安打は出ませんでしたが、スタメン出場に限れば、後半戦に入っても”連続安打”は続いています。

後半戦初戦となった7月31日のファーム・リーグのオリックス戦(タマスタ筑後)。4回に右翼スタンドへの2ランを放ちました。粘りながら変化球を見事に捉えました。R&Dグループの明石健志スキルコーチも「めちゃめちゃ良いホームランだった」と唸る一打でした。

さらに、「真っ直ぐ待ちから粘れて、ちゃんとゴロにならないように捉えられていた。ボールの下にしっかりバット入れられていた」と解説します。本塁打含む2安打2打点と活躍し、翌8月1日の同戦でも2安打、2日も1安打1打点。右に左に、力強さも巧さも発揮しました。現在、堂々の西地区首位打者です。

「状態が悪い」中で見せた成長の証

しかし、結果を残しながらも、どこか満足していない笹川選手。

7月20日の広島戦(タマスタ筑後)で4安打固め打ちをした日でさえ、「状態が悪い」と首を傾げました。

傍から見ると、そうは見えませんでしたが、「状態が悪い」中で結果を残せるようになったことこそが、笹川選手の成長なのです。

「今まで調子悪いときに4安打とか出たことないですし、悪いなりのアプローチの仕方とかは、だいぶ成長したのかなと。しかも、この4安打は全部ツーストライク追い込まれてからでした。調子良かったら絶対一発で仕留めているし、長打とかになるはずなんですけど…。でも、悪いなりの引き出しっていうのは増えているのかな。こういう対応していけたら、もっと数字は上がってくる。調子は良くないですけど、悪いなりに頑張っています」

結果を出しても、どこか悔しそうな笹川選手ですが、冷静に”今できること”を打席の中で体現し、安打のバリエーションも増やしてきたのは、大きな成長でした。

なかなか手応えを口にしない笹川選手について、明石コーチは「新しいことというか、自分の感覚にないことをやっているから(手応え的に)ギャップがあるのかな」と考察します。2軍打撃コーチ時代から、笹川選手の打撃をサポートしてきた明石コーチは、ここ最近の成長に頷きます。

今までは”突っ立った”ような体勢のまま打ちにいっていたため、ゴロになったり、引っ掛けたような打球が多くなっていました。最近は、左肩を我慢できるようになり、下半身からの連動で上手く力を伝えられているといいます。

実戦形式練習ができる最新鋭マシンのトラジェクトアークを使用し、センターから逆方向に打つ練習を行ってきました。その結果、「ピッチャーの投げるボールへの入り方が良くなった」と明石コーチは語ります。

壁を感じた”人生の分かれ目”

今季は開幕1軍をほぼ手中に収めていた中で、自らのミスが響いて2軍スタート。もどかしい気持ちを抱きながらファームで汗を流しました。

4月24日からの広島戦(由宇)で3試合連続マルチ安打、2試合連続本塁打と爆発的活躍を見せると、28日に今季初昇格。1軍でも勢いそのままに、最初の2試合ではすぐ安打を記録しましたが、10試合の出場で24打数4安打。1か月経たずして、5月14日に登録抹消されました。

「分かれ目だったんじゃないですか、人生の」

1軍生き残りをかけて必死だったあの時間を振り返ると、そんな言葉が出てきました。「そのまま1軍定着していたかもしれないですし…。『あの時間があったからよかった』とは、まだ思えないですね」と静かに唇を噛みます。

前半戦を振り返り、「上手くはいっていないですね。悔しいです」と語ります。

新たなスタイルを確立中ではあるものの、「いろんな引き出しは見つけたけど、まだそれが1軍で通用するのかどうかはわからない」と簡単に手応えを口にしないのも、“1軍の壁”を肌で感じてきたから。

連続安打は1つのモチベーションとして挑み続けてきましたが、複数安打放った日でも、笹川選手は満足することなく、凡退した打席に悔しさを滲ませます。森笠繁2軍打撃コーチは「彼は10割打とうとしてるんじゃない?(笑)でも、それはまだまだ打てるって本人も思っているし、こっちも思ってるから」とレベルアップに貪欲な姿に目尻を下げました。

さらに、「本人は考えながら、悩みを抱えながらやってはいる。でも、打率も上がってはきているし、チャンスで集中したときは良いものを発揮できている。でも、1軍でレギュラーを獲るには、そんな気持ちよく振らせてくれない中でどう打っていくか(が大事)。もう1個覚えてくれると、1軍でもさらに活躍できるのかな」と森笠コーチはもう一段階、ステップアップすることを期待しました。

特に1軍に上がると、結果を出すことに前のめりになりすぎて、気持ち同様に身体も突っ込みがちに。負けん気の強さは、選手として大事な部分ですが、空回りする要因でもありました。

だからこそ、熱さは胸に秘めながら、集中して1打席1打席に向き合います。

心も技術も進化を続ける若きスラッガー。一段一段、階段をのぼる笹川選手が覚醒する時を、心待ちにしています。

Writer /

上杉 あずさ『班長』

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