公式戦初アーチは、母の前で豪快に放ってみせました。
4月18日、ファーム・リーグのオリックス・バファローズ戦(タマスタ筑後)に「4番・三塁」でスタメン出場した髙橋隆慶選手。
“社会人NO.1スラッガー”と評されてJR東日本からドラフト5位で入団した即戦力ルーキー。守備が課題とされ、開幕は2軍スタートとなりましたが、打撃では存在感を見せてきました。
ところが、4月は持ち味の長打が出ていませんでした。そんな中で放った、”プロ初本塁打”。「良い角度で上がってくれたので、これは入るかなと思いながら走っていました。手応えも良かった」と確信の一発でした。

また、「ちょっとホッとしたというか、1試合1本くらいはヒットが出ていたんですけど、長打を求められている部分はあるので、その点では物足りなさを感じられているのかなと思っていました。やっと1本、本塁打が出たのは良かった」と安堵の笑みを浮かべました。
試合後のヒーローインタビューで、公式戦初アーチの記念ボールをどうするのか問われると、髙橋選手は「今日はお母さんが来ているので、あげようかなと思います」とハニカミました。


母と息子の久しぶりの”日常”
この3連戦で初めてファーム本拠地の「HAWKSベースボールパーク筑後」に観戦に訪れた母・有美子さんは、目の前で息子が放ったプロ初本塁打に大興奮。お立ち台でのコメントに、有美子さんは「ドキッとしちゃいました。嬉しいです」と喜びを語りました。
髙橋選手は試合後の特守を終えて、球場から出ると、ファンに交じって息子を待つ母の姿を見つけました。
すると、2メートルくらい離れたところから、母に記念球を投げ渡した髙橋選手。”孝行息子”は「良かったです。すぐボール渡せたので」と微笑みましたが、渡し方は”特別感”なく、何だか慣れた様子です。
というのも、「社会人の時もよく見に来てくれていたので、(本塁打を打った日はボールを)渡して終わりでした」と髙橋親子にとっては久しぶりの”日常”だったようです。
小学生の頃から、手元に戻ってきた本塁打ボールは全て自宅に並べて飾っていることを明かしてくれた有美子さん。これまで息子から何度も本塁打ボールを貰いましたが、プロの世界に入って初めて公式記録に刻まれた本塁打は、特別なものになるに違いありません。目の前で見届けられた上に、直接ボールを渡され、胸いっぱいになる瞬間でした。
有美子さんはその後、本塁打ボールにサインもらおうと、ファンにまぎれて順番待ち。しかし、照れ隠しなのか、「それは綺麗なままの方がいいんじゃない」と一度は流されかけるも……周囲のファンの方々に背中を押され、母は息子から本塁打ボールにサインを貰いました。貴重な瞬間に有美子さんも幸せそうな表情を浮かべました。母でありながらも、まるで1人のファンのようでした。


髙橋が誓う次なる”恩返し”
髙橋選手は、男3人兄弟の三男。長男と8つ、次男と6つ歳が離れていることもあり、可愛がられた末っ子でした。兄2人は高校までで野球を引退したため、有美子さんもそれ以降は隆慶選手を全力応援。高校から寮生活となりましたが、高校、大学、社会人時代も熱心に球場に駆け付けたといいます。
プロ入り前までは頻繁に試合観戦に訪れていた有美子さんも、プロ野球選手になった今、毎試合福岡へ足を運ぶわけにもいきません。様々なサブスクに加入し、試合の配信をチェックする日々だといいます。
そんな中、初めての筑後遠征でした。公式戦初アーチを目の当たりにしただけでなく、背番号56のユニフォームを着たファンの姿を見て、感慨深い気持ちになりました。母にとってたくさんの嬉しい瞬間に出会えた3日間でした。
髙橋選手は「まずプロになることで1つ恩返しができたのかなと思いますが、今度は結果で返したい。まだ1軍では打てていないので、1軍で打つのが次の恩返しかな。そこを目標にやっていきたい」と母の愛情を真っ直ぐに受け止め、次の”恩返し”を爽やかに誓いました。

