「ソフトバンクの救世主になれるように頑張ります」
育成ルーキーから出た頼もしすぎる言葉でした。2025年育成ドラフト8位で中央大学の準硬式野球部から福岡ソフトバンクホークスに入団した1年目の北斗投手が、公式戦初勝利を挙げました。
5月20日、ファーム・リーグの阪神タイガース戦に先発し、8回を投げて、4安打無失点。7奪三振、無四死球と圧巻の投球を披露。


完封勝利にも期待がかかりましたが、投じた球数は93球。プロ入り後最多の球数だったこともあり、8回で降板となりました。
斉藤和巳2軍監督は、「そこ(完投)は全然ない。球数がもうちょっと少なかったら可能性はあったかもしれないけど、8回まで投げて100球以内で収まったのは上出来。今まで3軍でも最大60球台だったから。それを考えると、完投、完封なんてまだまだチャンスあるわけやから、そこは徐々にね」と説明しました。
3軍で結果を残し、今月4日に中継ぎで2軍デビューしたルーキーは、中3日で8日の阪神戦で初先発。5回1安打1失点も勝ち負けつかず、中11日で迎えたマウンドでした。
待ち望んだ登板機会。投げられる喜びをボールに込めるように、テンポ良く思いっきり投げ込みました。「(登板前は)まさか8回までいけるとは思っていなかったけど、ずっと投げていなかったので、『投げたい、投げたい』が強くて。その気持ちで、自分の持ち味を見せられたのかなって思っています」と北斗投手は笑みを浮かべました。
斉藤2軍監督も「1番はテンポ。野手が『ナイステンポ』とベンチでも言うくらい、誰もが感じている。ボールが先行しても、ベース板の上で勝負しにいく姿勢があるから、そのテンポが生まれる」と評価します。テンポの良さに引っ張られるように、野手も大量得点で北斗投手を援護しました。秋広優人選手は「素晴らしいテンポ。毎日投げて欲しいくらいですね」と語りました。
ハイペースで力いっぱい投げ続けた右腕は、「5回くらいから両脚を攣っていて」と明かします。疲労もピークでしたが、「最後まで行くつもりでしたし、あわよくばマダックスを狙っていたんですけど」とイニングを重ねるごとに気持ちはメラメラと燃えたぎっていきました。
さらに、 「今日は中継ぎ陣のピッチャーもあまりいなくて。だから、自分がどうにかしようと思って。いけるところまでいこうと思っていたら、8回までいけたので良かったです」と何とも頼もしいコメント。

丁寧に穏やかに語る表情と、語っている内容の頼もしさのギャップが大きい北斗投手。試合後のヒーローインタビューでは、「ソフトバンクの救世主になれるように頑張ります」と宣言。
「今、1軍の先発ローテーションもいろいろあると思うので、そこにのめり込めるように、自分の持ち味が発揮できるように、どんどんアピールしていきたいなと思います」と遠慮することなく、チャンスを狙います。
斉藤2軍監督は「今はまだはっきりと見えているところまでは来ていないと思うけど、こういうピッチングを続けていれば、どこでどうなるか分からない。それは1軍の状況も踏まえて、いろんなことが起きた中で彼にチャンスが回ってくるかもしれない。それは北斗だけじゃなくて全員にあてはまる。どれだけ準備し続けられるか、それが大事でしょうね」と語ります。
孝行息子が誓う”下克上”
育成ルーキーだからと言って、1年目から”狙わない”わけはありません。
中央大学準硬式野球部から育成でのプロ入り。たしかに、イメージしていた1年目は土台づくりでしたが、自身でも驚くほど順調にステップアップを続けています。
「正直、ここまでできるとは思っていなくて」と謙虚に語りますが、「準硬式から入ってきてるから、怖いものとか全然知らないので。とりあえず自分のやることだけやって、練習とかも誰よりも長く練習してっていうのをやったら、今の結果に結びついてきました」と”怖いもの知らず”を逆手にとって、どんどん投げ込んでいるようです。
公式戦初勝利の記念球は、母に贈るという北斗投手。「母の日にまだ何もあげてなくて。花も良いけど、ありきたりなので、何かいいものないかなと思っていたら…いいものありました(笑)」と照れくさそうに笑いました。

まだまだスタートしたばかりのプロ生活ですが、”育成の星”、”準硬式の星”になるべく、北斗投手は虎視眈々とチャンスをうかがい、アピールに燃えています。
育成1年目、準硬式からの”下克上”を期待せずにはいられません。
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