豪快なアーチが巻き返しの”キッカケ”になってくれるはず──。
昨季途中、読売ジャイアンツからトレードで福岡ソフトバンクホークスに移籍した秋広優人選手。移籍2年目の今季は、オープン戦でチーム最多の3本塁打をマークするなど、進化した姿を見せていました。しかし、開幕は2軍スタート。ここまで1軍昇格はありません。
打率も1割台と2割台をいったりきたりの日々が続いていました。「練習では自分のイメージ通り打てても、試合になるとどうしても練習通りのスイングができないという状況でした」と明かします。2軍が練習日だった6月9、10日、秋広選手はコーディネーターからの勧めで、2日間”打撃特化”。文字通り、打撃に特化した集中練習を行いました。様々なドリルに取り組んだり、マシンで速球を打ったり、試合に向けてのアプローチを模索しました。
すると、12日のファーム・リーグ 阪神タイガース戦。”打撃特化”明け最初の打席、第1打席に右翼への先制3ランを放ちました。
「風があったのでどうかなと思いましたけど、良いスイングができて、芯で捉えられたので、『入ってくれ』と思っていました」と謙虚に振り返ります。
4月16日の阪神戦以来、約2か月ぶりの一発。「最近は思うようなバッティングができていなかったので」と苦しんできた中で生まれた本塁打は、秋広選手にとって大きな一打となりました。

さらに、14日の同戦は、8回に代打で打席に立つと、初球のストレートを完璧に捉え、右翼の防球ネット上方に突き刺す豪快な本塁打!
「代打という難しいところでしたけど、初球から打ちにいけて、しっかり自分のスイングが出来ました。良い準備が出来たと思います」
力強い一発のインパクトは抜群でした。この2本の本塁打で、何か良いキッカケを掴めるのではないか──。そう期待せずにはいられません。
ただ、秋広選手は「うーん。でも、今年はそういう感じ(手応え)がちょくちょくありましたけど、なかなか継続できなかったので、継続することを1番にやっていきたい」と冷静でした。
今季はここまで、結果に波がありました。「それが今年のダメなところ。1日1本でもいいので、しっかり打っていくところを目標にやりたい」と気を引き締めました。

反省より大切にすべき”感触”
12日の試合後のこと。久々の一発にも浸ることなく、秋広選手は一目散に屋内練習場へと向かい、バットを振りました。
第1打席に本塁打を放つも、その後の3打席で3三振。
「良いところもあったけど、打った後の打席が1番大事だと思うので。そこで内容が良くなかったので、しっかり反省はして」
結果に関わらず、試合後も黙々と打撃練習するのは秋広選手の日常ですが、この日は練習を終えた後、斉藤和巳2軍監督に声を掛けられました。
「3三振の方を見るんじゃなくて、ホームランっていうところを見た方が絶対に良くなっていくから」
「本塁打を打ったのに、あとの打席の反省ばかりだと良い感触を忘れてしまうぞ。その感触を大事にしろ」と斉藤2軍監督は伝えたといいます。
14日の豪快な一発についても「良い本塁打だった。(打った球は)アキの好きなとこやったけど、代打で1球で仕留められたんやからね」と称えました。
秋広選手は「今日は良かったですけど、これまで全然打てていないので、もっと取り返せるように、継続していけるように頑張りたいと思います」と本塁打の感触を大切にしながらも、先を見据えました。


突然の環境の変化から丸1年
昨年5月12日──。
シーズン途中、トレードでホークスにやってきた秋広選手。突然訪れた大きな環境の変化から、先月で1年が経ちました。
移籍直後の昨年の交流戦では移籍後初本塁打を放ったり、3日連続でお立ち台に上がるなど存在感を示しました。ところが、夏場以降は2軍暮らし。振り返ると「悔しい1年というのが1番」と唇を噛みます。
それでも、新天地で「すぐ1軍で出させてもらったり、自主トレで山川(穂高)さんと一緒にやらせてもらったので」とホークスで過ごす時間の充実感を語りました。
師匠と慕う山川選手と共に1軍でプレーすることが秋広選手のモチベーションの1つでもありましたが、先日から山川選手が2軍に合流。
願った場所での共闘ではありませんが、「1軍と2軍にいる時は、なかなか直接話せなかったけど、今はバッティング練習も見て貰えますし、いろんな話をしています。良い時も知ってくれているので、悪くなった時もいろいろ話を聞いてもらったり」と秋広選手にとっては心強い存在。食事を共にすることもあるそうですが、会話の内容は専ら野球の話だといいます。
師匠と過ごす時間は、より深く打撃と向き合えるひとときのようです。

今回の2本の本塁打が、巻き返しのキッカケになりますように。もがきながら掴んだ”感触”を大切に、秋広選手はこれからもバットを振り続けます。
