晴れやかな表情を見せました。
「このユニフォーム着て投げるの初めてですよ」
そう明かしたのは長いリハビリ生活が続く長谷川威展投手。
2023年オフの現役ドラフトで北海道日本ハムファイターズから福岡ソフトバンクホークス入りした変則左腕は、移籍1年目にキャリアハイの活躍を見せました。自己最多の32試合に登板し、中継ぎとして4勝をあげるなど、チームに新風を吹かせてくれました。
ところが、左肘を痛め、昨年3月21日にトミー・ジョン手術を受けました。長いリハビリ生活を見据え、今季からは育成契約に。さらに、術後1年が経過した今年4月1日に「内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術」を受けました。左肘のリハビリ過程で、腰も痛めてしまったのです。
決して順調ではなく、苦しい日々は続きますが、長谷川投手は自分自身と向き合いながら、一歩一歩、前進しています。
5月下旬、腰の手術後初めてブルペンで立ち投げを行いました。その時は練習着でしたが、6月23日、今季から背負う背番号「120」のユニフォーム姿で、初めてブルペンへ。傾斜で20球を投じました。


「前の状態を考えたら、投げられる気もしなかったので、ブルペンで投げられたことが良かったし、そこで良い球もあったので良かった」と嬉しそうに語る長谷川投手。
リハビリの担当PT三輪智輝さんも「とても良かったです。余力ありそうな感じで投げていた中で、133キロくらい出ていました」と安堵していました。

目を逸らさず向き合い続ける”現実”
長谷川投手は「腰痛める人多いし、自分もすぐ治ると思っていたけど、そうもいかなかった。成長にも早い遅いがあるように、治りにも個人差がありますよね。めげずにやるだけです」と苦しい中でも、”自分は自分”だと受け止めてきました。
一時は、ウォーキングでさえキツい時期もあったといいます。腰のみならず、先に手術をした左肘の状態にも波がありました。
「自分より後に手術した子がブルペンでバンバン投げているのを見て、焦ることもあった」と明かしますが、現実から目をそらさず、周りの投手陣が投げている姿も見るようにしました。
練習中からリハビリの他の選手、2、3軍の投手、そして試合……。周囲に目を配りました。「正直、試合を見る気持ちになれないこともあります。でも、今は良いピッチャーを見ることを大事にしています」といいます。
それは、「『自分も投げれるんだ』っていう言霊(ことだま)。例えば、速い球投げるピッチャーを見て、『自分も速い球を投げられるんだ』と思えるように」と自らに言い聞かせているのです。
在籍選手数も12球団最多で、ライバルの多いホークスですが、むしろこの環境をプラスに捉えました。「周りが上手いと、(競争の中で)上手くなるはずなので。環境は大事です」と長谷川投手。
自分が投げられず、現実から目を背けたくなりそうな日々も、「目を逸らさずに、見るようにしました」と語る姿は、逞しい限りでした。
リハビリ中に取り組んできたトレーニングの成果も目に見えて分かるほど、身体は厚みが増しました。骨格筋量は昨年より3キロほど増えたといいます。また、鍛えた身体をしっかり使えるようにするため、パーソナルトレーニングにも通っています。
心身ともに強く逞しく、静かに進化を続けています。そんな長谷川投手がパワーアップして帰ってきてくれる日を心待ちにしています。
