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選手生命をかけた覚悟の“徹底”…岩崎峻典の明らかな成長

上杉あずさのスコアブック
公開日:2026.07.12

覚悟がみなぎると、こうも変わるのか。進化を続ける岩崎峻典投手のプロ初先発はそう遠くない未来にやってくるかもしれない──。

1軍本拠地で見せた堂々たる投球。徹底的に“自分の投球”を続けられたのは、秘めたる覚悟の表れでした。

履正社高校時代は甲子園優勝投手。東洋大学でも1年春からリーグ戦に登板するなど、アマチュア時代の実績を引っ提げて2024年ドラフト6巡目で福岡ソフトバンクホークスに入団した岩崎投手。1年目は5月に中継ぎとしてプロ初登板するも、1回3失点とほろ苦いデビューに。以降は2軍で腕を振ってきました。

7月7日からの3日間、ホークス2軍はみずほPayPayドーム福岡でオリックスとファーム・リーグ公式戦を戦いました。

2軍戦とはいえ、1軍本拠地でプレーするのは、若鷹たちにとって貴重な機会。初戦の先発を託されたのが、岩崎投手でした。

この日は、初回からスコアボードに0を並べましたが、5回に無死3塁のピンチ。「これは反省しなアカンところ。僕の意地が出てしまいました」と三振狙いで四球を与え、ピンチを広げたことを悔いました。打ち取った当たりが内野安打となり、1失点するも、結果的には3つのアウトを全て三振で奪い、最少失点で切り抜けました。

6回終了時点で球数は99。交代かと思われましたが、“志願”の続投で自己最多116球の熱投。7回6安打1失点、8奪三振と素晴らしい投球で、無傷の4勝目を挙げました。

試合後には、ドームのお立ち台に上がり、「丁寧にいこうと思って投げました。7回投げきれてチームに貢献できて良かった。早く1軍で初勝利したいと思います」と笑みを浮かべ、ファンに挨拶しました。

1年目のオープン戦で投げて以来、本拠地で“初先発”。決して浮き足立つことなく、平常心で挑みました。さすが、甲子園優勝投手は強心臓です。

とはいえ、意識はせずとも普段より注目度の高い2軍戦。1軍の先発事情を考えても、よりアピールが求められる中での好投は大きな収穫でした。

「インコース攻めてナンボのピッチャー」

岩崎投手は「課題がインコースに投げきることだったんですけど、それはほぼ間違えることなく、精度よく投げられたので良かったです」と振り返ります。

奥村政稔2軍投手コーチは「そこまでいかんでいいやろっていうくらい、要所要所でインコースを攻めていた。調子はそこまで良くなかったと思うけど、あれくらいのピッチングができたのは収穫」とその徹底っぷりを評価します。

バッテリー間でもインコースを積極的に使うことは話していたといいますが、奥村投手コーチは「岩崎の思いの方が強かったんじゃないかな」と強い意志を感じたようです。岩崎投手は「(インコースに)いきすぎるくらいいっちゃったんですけど、それがいい結果に繋がった」と充実感を滲ませました。

「自分はインコース攻めてナンボのピッチャー。逆に攻めないと、これといって凄い球はないので」

ルーキーイヤーの昨季は「全然できていなかった」と振り返りる“強気の投球”。「(死球)当ててランナー溜めたらどうしよう、みたいな。多分そんな考えがあったんで」と多少、引いてしまっていた部分があったことを認めました。

でも、そんな考え方は今季、ガラリと変わりました。今では「困ったらインコース」とむしろ積極的に攻めます。その姿勢が結果にも繋がり、自然と岩崎投手のスタンダードになりました。

インコースを攻めることは投手として大切なことですが、岩崎投手はなぜ急に変われたのでしょうか。

「いや、もう…生活かかってるんで。そりゃあ、覚悟ですよ。ただでさえ出遅れてたじゃないですか。そういうのもあって、ちょっとメラメラ度は高いかもしれないですね」

腹をくくれたのは、春先の離脱がキッカケでした。2月の春季キャンプ中、岩崎投手は右肩に痛みが生じ、そのままリハビリ組へと移管されました。人生初のリハビリ生活で強い危機感を覚えると、覚悟が決まりました。

奥村投手コーチは「岩崎は最近、(ビッグ)マウス発言して、自分を奮い立たせようとしている感じもある」と証言します。岩崎投手に問うと、「そうです、わざとです。奥村コーチにだけですけど、毎回『打たれる気せんっす』とか言って、自分でモチベ上げてます」と笑います。

プレッシャーをかけながら、自身を鼓舞し、見据えるのは1軍でのプロ初先発と初勝利。話す言葉や振る舞いからも、大きな成長を感じる2年目右腕。徹底的に自身の投球に磨きをかけ、1軍マウンドを手繰り寄せて欲しい。

Writer /

上杉 あずさ『班長』

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