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“かすかなチャンス”にかける男の覚悟…ハッとした後輩の活躍

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公開日:2026.06.16

後輩の活躍が良い“ヒント”になりました。

育成4年目の西尾歩真選手。2軍戦のスタメンでの出場機会は、1カードにほぼ1試合と決して多くはない中でも、その起用に応えています。ここまで23試合に出場し、打率.316。先発起用された16試合中11試合で安打を放ち、無安打の日も四球で出塁するなど、確実に存在感を見せています。

限られたアピール機会を絶対逃がさないように、コツコツと準備を大切にしています。

「スタメンで出られるのは3試合に1回あるかないかですけど、4年目ですし、毎年こんな感じなので、準備の仕方はある程度、自分の中で固まってきているものはあります」と西尾選手。

本拠地での試合日は、特定の投手の投球フォームや球質を完全に再現できる最新鋭のバーチャル打撃マシン「トラジェクトアーク」で必ず打撃練習を行い、感覚とイメージを擦り合わせてから試合に挑みます。「それを継続してきたことで、出た時には良い結果が出せているのかなと思います」と頷きます。「調子が良い悪いとかはあまりない」と言えるのは、結果を出すための“準備力”の賜物でしょう。

「もちろん、レギュラーが目標ですけど、もし自分が支配下に上がって1軍に行ったとしても、最初から試合に出続けることってないと思うんです。だから、パッと出た時にいかに打つかとか、インパクトを残せるかってところだと思うので。今はその1試合、パッと出た時が大事だと思っていて。いっぱい試合に出たい気持ちもありますけど、本当その1試合、出た時にかけるというか」

西尾選手は、自身のプレースタイルを理解した上で、どうアピールしていくべきなのか冷静に考えています。

ハッとさせられた佐倉の積極性

限られた出場機会の中で結果を残していくことは、簡単なことではありません。日々いろんなことを考え、練習、準備に取り組む西尾選手ですが、ハッとさせられる後輩の活躍がありました。

育成3年目の佐倉俠史朗選手です。6月12日からのファーム・リーグ 阪神タイガース3連戦で久しぶりの出場機会を得ました。2軍戦の出場は3月19日以来。ここまでは主に3軍でプレーしてきました。

13日、「6番・三塁」でスタメン起用された佐倉選手は、3安打2打点の活躍。2回の第1打席は、初球のチェンジアップを左前に運びました。一死満塁のチャンスで回ってきた4回の第2打席も、初球からフルスイング。ファウルになりましたが、その後3ボール1ストライクから積極的にバットを振り抜き、先制の2点適時二塁打!6回にも二塁打を放ちました。凡退した第4打席も含め、全ての打席でファーストストライクをしっかり振りにいった佐倉選手。

14日の同戦でも積極姿勢は変わらず、豪快な公式戦初アーチを放ちました。

限られたチャンスで大きなインパクトを残した後輩の姿は、西尾選手にも刺激を与えてくれました。

「俠史朗がどんどん初球から振っていったじゃないですか。僕らって、3軍いったら『どんどん振っていけ』って言われて、初球から振っていけるんですけど、ちょっと2軍生活が長くなると、ボールを見出したりとかしちゃうんです。調子悪くなってきた時も、ボールを見よう見ようとして、手が出なかったりとか。ちょっと引いている分、ミスショットしたりとか。(大泉)周也さんとも、『俠史朗みたいにどんどん自分から仕掛けていくのって大事やな』って話していたんです」

自身のプレースタイルもあるからこそ、一概には言えませんが、「僕みたいな立場は、初球打たずにしっかり球数を投げさせていくっていうのも大事だと思うんですけど、まずは打たないと(支配下に)上がれないので」と西尾選手。

育成4年目になり、今まで以上に求められることや置かれた立場を理解しているからこそ、俯瞰して見てしまう部分もありました。そんな時、思い切りのいい佐倉選手の姿にハッとさせられたのです。

西尾選手は「僕の売りはバッティング。二遊間なんで守備もしっかりやらないといけないんですけど、どこで他の人と差をつけるかっていうと、アピールポイントはやっぱりバッティングなんです」と力を込めます。

「しっかり守れるのは当然。それプラス、打てないと上がれないと思う。足もそんなに速いわけじゃないけど、今年は盗塁もできているので。チャンスがあればどんどん走りたい。僕らにマイナスはないので」

かすかなチャンスにかける男に滲むのは、強い覚悟とやってきたことへの自信。だからこそ、打った時の輝きはより一層美しく、観る者の胸を熱くしてくれる。静かに集中力を研ぎ澄まし、活躍の準備を行う西尾選手にこれからも注目したい──。

Writer /

上杉 あずさ『班長』

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