福岡ソフトバンクホークスは27日、育成5年目のルイス・ロドリゲス投手を支配下登録しました。
ドミニカ共和国から2022年5月に20歳で来日。プロ未経験ながら、最速160キロの逸材として注目されていた右腕は、ホークスの育成選手としてプロキャリアをスタートしました。

しかし、2年目の2023年5月にトミー・ジョン手術を受け、長いリハビリを続けてきました。持ち前の明るさで、前向きにトレーニングを重ね、身体もさらに大きくなりました。
そして、4年目の昨季です。支配下登録こそ叶いませんでしたが、7月に1軍のライブBPに初招集され、存在感を見せました。「チームが気にしてくれていたことがすごく嬉しかった」とチャンスに感謝して腕を振ったロドリゲス投手。チーム内でもまだ”無名”だった剛腕が、一気に期待値を上げる機会となりました。
5年目の今季は春季キャンプ中のA組紅白戦やオープン戦に登板するなど、さらに注目度を増しました。しかし、その後は右肩を痛めてリハビリ組へ。出遅れはしましたが、6月に2軍に復帰すると、7試合連続無失点。直近2試合はタイブレークで登板し、失点しましたが、難しい場面を託されるようになったのは期待の表れでした。

泣いて喜び合った待望の支配下登録
異国の地での挑戦は、苦難も多くありましたが、「1軍の舞台で投げる」という信念が揺らいだことはありませんでした。
「とても大変な5年間だったんですけど、家族もいますし、自分だけではないので。ちょっとやそっとのことでへこたれてちゃダメだと思って、ここまで我慢強くやってこられたかなと思います」
特に今季は”ラストチャンス”だと覚悟し、自分への期待やプレッシャー、様々な思いを抱きながら、マウンドで戦い続けました。
「言葉で説明するのはすごく難しいくらい、自分としても、今年支配下になれるかな、どうかなというのを思いながら過ごしてきました。良い成績を残さないと支配下に上がれないというのもあったので、プレッシャーを感じていました」
育成選手として最後の登板になった7月22日の中日戦(タマスタ筑後)。0-0の延長10回、無死1、2塁のタイブレークでマウンドに上がりました。ボークやワイルドピッチもあり、1回2安打4失点と結果を残せませんでした。

試合後、ロドリゲス投手は慕っているフェリペ・ナテル3軍投手コーチに 「最後のチャンスを逃してしまった」と漏らし、肩を落としたといいます。7月31日の期限が迫る中、神経質になっていました。「もうダメなのか」……前向きな右腕が諦めかけたそんな時、”吉報”が届いたのです。
来日して5年かけて掴んだ2桁の背番号。知らせが届いた時には部屋で一人、涙したといいます。
来日時から、様々な面でサポートしてきたウィルフレイセル・ゲレーロ通訳は、そんなロドリゲス投手の部屋を訪れ、一緒に泣いて喜びあったそう。「1杯だけ乾杯しました」と2人で祝杯を交わしました。

「見えなかった」支配下…それでも戦い続けた右腕
ロドリゲス投手がトミー・ジョン手術を受け、リハビリを続けてきた2025年。4軍投手コーチとしてホークスに入団したナテルコーチとの出会いも、右腕の成長に繋がりました。
出会った頃のことを「ちょっと(支配下昇格は)見えなかったですね」と思い返すナテルコーチ。
「ゼロからのスタートみたいなものでした。牽制、サイン、投げる以外の取り組みが、もう本当に最初からやらなきゃいけないレベルでした。確かにすごいボールは投げられるけど、その他のことの方が目立っていた」
術後で実戦を離れていたとはいえ、支配下は険しい道のりだと感じたといいます。
ナテルコーチは根気強く、ロドリゲス投手と向き合いました。その中で、最も課題とされていたのが「集中力の保ち方」。「自分のリズムから離れると、元に戻すのが苦手なタイプでした。集中力を伸ばす訓練をしてきました。脳トレとか野球からちょっと離れたこともやったりしたんですよ」と明かします。
その成果もあり、徐々にロドリゲス投手は集中力が保てるようになりました。すると、面白いように野球の成績も伸びてきたのです。

「持っている力を出し続ける能力がなかっただけなんだな」とポテンシャルを継続して発揮できるように、寄り添ってきたナテルコーチ。まだまだ成長の余地も感じていますが、ロドリゲス投手のタフさを語ります。
「毎日試合で投げたい子なんで。準備して、登板機会がなかった日が1番落ち込んでいるんですよ。『投げたかった』って。とにかくマウンドに上がりたいという欲が人一倍強い。どれだけ調子が悪くても、マウンドから逃げるタイプじゃない」
マウンドに飢えた右腕は、どんな状態でもどんな状況でも、チームのために腕を振る覚悟ができているのです。
打たれた翌日も 「今日は取り返します」と弱気になるどころか貪欲な姿勢を見せるのです。ナテルコーチは「ピッチャーらしい性格を持っている」と頷きます。

さらに、みんなに愛されるキャラクターも魅力。今回の支配下登録で、周囲から「ロド、良かったな!」とたくさん声をかけられる姿に目を細めたナテルコーチ。
異国の地でこんなに応援してくれる存在ができたのも、ロドリゲス投手の人柄です。人懐っこくて明るくて無邪気な剛腕は、これからもタフに腕を振り、たくさんのホークスファンに愛される投手になってくれるはずです。

