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「38残ってるよ」差し込んだ一筋の光…困難を乗り越え続ける澤柳の誓い

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公開日:2026.07.30

「背番号、もう取られちゃったかな…」

ソワソワした気持ちが渦巻いていた澤柳亮太郎投手に届いた、「38残ってるよ!」という仲間からの連絡。思わずホッとした自分がいました。

7月27日、福岡ソフトバンクホークスは張峻瑋投手、小林樹斗投手、ルイス・ロドリゲス投手の3選手を支配下登録しました。さらに、30日にジャクソン・ラトリッジ投手の入団を発表。これで70人の支配下枠は全て埋まりました。

澤柳投手が気にしていたのは、”背番号「38」の行方”でした。

張投手が「17」、小林投手が「95」、ロドリゲス投手が「85」、ラトリッジ投手が「14」と新背番号が発表されましたが、「38」は残ったのです──。

2023年ドラフト5位でロキテクノ富山からホークスに入団。プロの世界で初めて貰った背番号「38」を大切に背負ってきましたが、ルーキーイヤーの9月に右肘のトミー・ジョン手術を受けました。長期リハビリが必要なため、オフに育成契約となり、わずか1年で「38」を手放すことになりました。

しかし、球団にはその際、「38を空けて待っている」と言われたのです。上手くいかないことが多くありましたが、澤柳投手は「38」奪還を1つの励みに、長いリハビリを乗り越えてきました。

続いた試練…野球の神様に「まだ無理なのか」

今春実戦復帰した右腕は当初、今年の期限までの支配下復帰を目指してきました。ところが・・・

“野球の神様”はなぜこんなにも試練を与えるのでしょうか──。

澤柳投手は3月24日の3軍戦で、約1年7か月ぶりにマウンドに帰ってきました。しかし、復帰して4試合目のことでした。

4月12日、九州アジアリーグの火の国サラマンダーズとの3軍戦。同点の9回に登板するも、7球投げたところで緊急降板。

その後、澤柳投手は再びリハビリ組に合流。「浅指屈筋の肉離れ」と診断されたことを明かしました。

浅指屈筋は、肘の内側の安定性を支える重要な役割を担っています。最悪の場合、再手術のリスクもあっただけに、大事に至らなかったことを前向きに受け止めた澤柳投手。

「心配されるんですけど、気持ち的には全然。仕方ないことでもあるので、割り切っています。むしろ、もっと投げられればいけるっていう手応えみたいなのもありました。それに、この期間にしかできないこととかいっぱいあるので、結構充実していますよ」と清々しい表情で語りました。

「出力が出過ぎて、指で止め切れていなかった。逆に言うと順調だったからこそです。(復帰してすぐに)ここまでの出力が出る人もなかなかいないみたいです」

“順調過ぎたことによる弊害”でした。

澤柳投手は、再びのリハビリ生活でも明るく振る舞ってきましたが、本当はそう簡単に受け止められるものではありませんでした。

9月4日で手術から丸2年。当然、今年7月末の支配下登録期限を意識してきた中でのショッキングな再離脱でした。

澤柳投手は「『まだ投げさせてくれないか』みたいな。野球の神様なのか知らないですけど、『まだ無理なのか…』ってそういうもどかしさみたいなのはありましたけど、切り替えるしかない」と思わず苦悩を語ったこともありました。

様々な思いを抱えながらも、グラウンドではそんな姿を一切見せることなく、黙々と練習やトレーニングに汗を流しました。

当然、早期復帰したいはずですが、”順調過ぎたことによる弊害”があったからこそ、今回はより慎重に、丁寧に復帰への道を歩んできました。

「もっと投げたいし、投げれるし。焦りもあるし、もどかしさもめちゃくちゃあったんですけど…この期間は、だいぶ自分を律することができたのかな」

“目先の期限”が気にならないわけはありませんでしたが、「来年の契約を取りにいく」ため、日々のリハビリもトレーニングも全力で取り組んできました。

近付く実戦復帰と語る感謝

そして、長い長いトンネルを抜けて、待ちわびた実戦復帰が見えてきました。7月25日に打撃投手に登板し、28日にはライブBPを行いました。

ライブBPで直球は147キロをマーク。球速を求めずして、自然と出た出力でした。「147キロは嬉しいですね。タマスタのスピードガンだともっと出ているかもしれないし、試合だと150キロは出ているなという感覚です」と笑みを浮かべました。

その他、取り組んできた変化球にも手応え、修正点などを感じながら、充実感を滲ませました。問題なければ、来週の3軍戦で実戦復帰する見通しです。

期限内に復帰してアピールすることは叶いませんでしたが、澤柳投手は差し込んだ”一筋の光”を励みに、先を見据えます。

「正直(今回の期限で「38」を)取られちゃったかなと思いました。もう仕方ないよなと思っていたら、(長谷川)威展から連絡来て『38残ってるよ!』って。すごいですよね」

3選手の支配下登録後、残り1枠の行方が決まるまではドキドキしていた澤柳投手ですが、「38」が残ったことが、彼にとっては大きな希望の光になりました。

「まだ来年どうなるかは分からないけど、38が残ったというのもあって、少し気持ち的に落ち着いたところもあります。自分はやるだけですけど、38が空いてるのはモチベーション。球団に恩義を感じます。なおさら、頑張らないといけない。球団に恩返ししたいですね」と感謝を語った澤柳投手。

度重なる試練を乗り越え、こんなにも真っ直ぐに取り組み続けた右腕が、今度こそ報われますように。澤柳投手が再び踏み出す一歩を、応援したい──。

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Writer /

上杉 あずさ『班長』

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