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渡邉陸のたしかな成長…投手に寄り添う捕手らしさ

上杉あずさのスコアブック
公開日:2026.08.29

「悩んでいるピッチャーほど組みたい」

この言葉ににじむのが、渡邉陸捕手の魅力でしょう。捕手として、人として、惹きつけられる存在です。

8月16日に出場選手登録を抹消されて以降、2軍で汗を流している育成出身8年目の25歳。降格後、バットでは5試合全てで安打を放ち、守っては投手陣を巧みにリードする姿が印象的です。

今季は開幕2軍スタートでしたが、やるべきことに黙々と取り組み、4月22日に今季初昇格。山本祐大捕手の加入により、正捕手争いはさらに激化。一度、5月13日に抹消されるも、6月4日に再昇格し、限られた出場機会を大切に必死にプレーしてきました。

そして、掴んだのが”週1チャンス”。上茶谷大河投手が今季初先発となった7月16日の日本ハム戦(エスコン)以降、”コンビ”としてバッテリーを組みました。5戦3勝と素晴らしい結果を残しました。

しかし、8月15日の楽天戦(みずほPayPay)後、登板機会が空くことから、共に登録抹消。27日、上茶谷投手はロッテ戦(ZOZOマリン)に先発するために再登録されましたが、渡邉捕手の登録はありませんでした。

「2軍落ちてからも、そこに合わせてじゃないですけど、そこで結果出せるような準備をしようっていう気持ちでやっていました」と、上茶谷投手と再び共に戦うイメージを持って取り組んできた渡邉捕手。

しかし、「呼ばれなかったんで、そこはあまり考えずに、自分のやるべきことをやっていきます」。当然、悔しい気持ちはありますが、現実を受け止め、自分自身のことに集中しました。

そして、目を背けることなく、上茶谷投手の登板試合もしっかりチェック。

「(山本)祐大さんがキャッチャーだったので、僕と全然違う攻め方をしていて、そういう攻め方もあるのかっていう勉強にもなったし、相変わらず首振ってんなと思いながら(笑)見ていました」と渡邉捕手。

配球や投手心理など、密なコミュニケーションを通して、「上茶谷さんにも成長させてもらった」と感謝しました。多くのことを学び、成長に繋がる貴重な時間を過ごしてきました。

「一緒にいいものを探したい」捕手としての”在り方”

1軍での経験を生かし、現在は2軍でマスクを被ります。

「いろんな状況、いろんな立場のピッチャーがいるので、そのピッチャーに合わせるところは合わせながら、自分の思っていることは伝えたりとか。ピッチャーが良くなるようにと思ってやっています」

ベテラン、若手、調子のいい投手、悩んでいる投手…ファームでは、様々な立場の投手をリードします。その難しさについて問うと、渡邉捕手は「いや、あまり難しいとかはないですね」と即答。

むしろ、「悩んでいるピッチャーほど組みたいなと。自分も一緒にいいものを探したい、見つけたいなと思いますね」と笑いました。

例に挙げたのは、前田純投手。「今は完璧に抑え続けられているわけではないので、話はしますね。2軍でしっかり、まずは結果を残せるように。もう大丈夫だと思いますよ」と寄り添いました。

前田純投手に聞くと、渡邉捕手が1軍での経験を経て、”引き出し”が増えていることを実感していました。自身の持ち味を発揮できずにいた時、新たな切り口からリードしてくれたといいます。

「『自分の特徴はこうだからこう攻めていこう』っていうのが今までの陸だったんですけど、その特徴が上手く使えないときに『じゃあどうしようか』っていうのを言ってくれた。その”引き出し”によって、すぐ切り替えができて投げられました」と女房役に感謝しました。

“投手と共に”…たしかな成長とさらなる期待

渡邉捕手の成長を髙谷裕亮2軍バッテリーコーチは、こう語ります。

「技術的なところで言うと、週1回でもそういう準備をしてきたことが、すごく彼にとってプラスになったと思います。特にブロッキングとスローイングに関しては、1軍に上がる前に2軍でやってきて良かったことを継続していたようですし。それが良い方向にいっているかな。ファームに戻ってきても安定している。プレー自体、弾くとかバラつくっていうのは、ほぼなくなっているので」

実際に、渡邉捕手も「成功体験を積み重ねていくことで、不安要素なく試合に入れているのが1番大きい」と頷きます。技術面で自信を持って挑めているから、より対戦に集中できていたのです。捕手としての立ち居振る舞いに、これまで以上の逞しさを感じるのは、積み上げてきた練習が自信となっていたからでした。

そして、投手に寄り添うコミュニケーション。高谷コーチは、「ピッチャーの課題もあるけど、2軍とは言え、課題に向かってやれば打たれてもいいのかっていうと、僕はそうじゃないと思う。それを上手く使いながら、どうやってバッターを抑えていくか(が大事)。キャッチャーも抑えたいし、ピッチャーも課題はあるかもしれないけど抑えたいはず。我々は勝負師なんで」と語ります。いかなる状況下に置かれる投手でも、捕手として抑えるために尽力するべきだと強調しました。

まさに、そんな心意気で投手と向き合う日々。今季、成長目覚ましい渡邉捕手です。

髙谷コーチは「やっぱり(渡邉捕手がマスクを被ると)試合がちょっと締まるよね、的な空気感にしないとね。別にスマートにやることが正しいことじゃなくて、ピッチャーを引っ張るとか、立ち振る舞い、ジェスチャー、そういうことも含めて、ポイントになるときにいろんなことができるように。そうなってもらわないと困りますね。まだまだできると思うので」と期待を込めました。

渡邉捕手は、「去年も、前純(前田純投手)メインで、週1回のチャンスを掴みきれずに終わったんで、やっぱもっと成長しないとなと思います」と悔しさも糧に前を向きました。

「自分の結果とかもありますけど、特にピッチャーと一緒にいいものを探しながらやっていきたい」

常に投手に寄り添い、共に成長を続ける渡邉捕手が、再び1軍で”相棒”たちと笑顔を浮かべる姿を心待ちにしています。

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Writer /

上杉 あずさ『班長』

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