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「次の回、行くぞ」木村大成が見た景色…紆余曲折辿り着いた現在地

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公開日:2026.08.31

3度の1軍昇格で、未だ登板はありません。それでも、確実に”前進”していました。木村大成投手は、一歩でも前進したことを前向きに受け止め、挑み続けます──。

2021年ドラフト3位で北海高校から福岡ソフトバンクホークスに入団した左腕。怪我に泣く時期や3、4軍で試行錯誤する時間も長かったですが、4年目の昨季、2軍でキャリアハイの36試合に登板。一歩ずつステップアップしてきました。

8月16日、今季2度目となる1軍に昇格。18日からは地元・北海道での日本ハム戦(エスコンフィールド北海道)でした。しかし、登板機会のないまま21日に登録抹消。

今回で通算3度の1軍でしたが、未だそのマウンドには立てていません。

初めて1軍に昇格したのは昨季。7月30日の日本ハム戦(エスコンフィールド北海道)でプロ入り後初めて出場選手登録されました。北海道出身左腕にとって、地元でのデビュー戦となれば、最高の舞台。家族や友人も応援に駆け付けましたが、登板機会はありませんでした。

2回目は今年5月29日の広島戦(みずほPayPayドーム)。29、30日とベンチ入りするも、登板のないまま31日には再び2軍へ。

そして、”3度目の正直”を信じた今回の昇格でした。「3回目なので、2軍にいる時と変わらずに準備していました」と冷静にその時を待ちました。

これまではどこかソワソワした感じがあったと言いますが、状態も良く、自信を持って1軍ブルペンに加わりました。

「次の回行くぞ」初めての”スタンバイ”

結果的に、今回も投げることはありませんでしたが、「初めてブルペンで肩つくって、あと一歩のところまでいったんです」と明かします。

初昇格の時は、ベンチで応援していました。2回目も試合序盤はベンチで応援し、その後はブルペンへ。ただ、「お水を渡したりとか、チャート書いたり、お仕事していました」と投げる気配はありませんでした。

しかし、今回は違いました。

8月20日の日本ハム戦の7回裏、5-1とリードを広げられた時でした。

「ちょうど登板があってもなくても、ピッチングする予定だったので、ピッチングをしていたんです。それで終わる予定だったんですけど、途中から僕に切り替わって、『次の回行くぞ』と言われて」

一気に緊張感が高まりました。ドキドキしながらも、飢えに飢えた念願のマウンドに立てる喜びを胸に、身体と気持ちを整えました。

すると、直後の8回、栗原陵矢選手の劇的な満塁本塁打が飛び出し、ホークスは同点に追いつきました。チームとしては大興奮の一発でしたが、木村大投手のデビュー戦は白紙に。

当然、一選手としては初登板を飾れなかった無念もありますが、「今までは(準備するところまでもいって)なかったので。こういう経験をしたことで、次投げる時に生きてくるかもしれない。投げたかった思いはありましたけど、そういう経験ができたのは良かったです」と前向きに受け止めました。

紆余曲折で築き上げた現在地

そして、降格後すぐの2軍戦。優勝争い最前線の一員としてブルペンにいた経験が、たしかに生かされていました。

「今までは2軍戦でも緊張していたんですけど、悪い緊張はしなくなりました」と胸を張り、マウンドへ。

8月21日の阪神戦(SGL)では、2回1安打無失点。23日の同戦では、1点ビハインドの7回二死1、2塁のピンチで登板すると、見事火消しに成功。たくましさを感じるマウンドでした。29日の広島戦(タマスタ筑後)では、1回2失点(自責1)でしたが、小笠原孝2軍投手コーチが成長を認める内容もありました。

「テーマである、左バッターに食い込むボールを勇気を持って投げていこうという話をしていて、それをトライできていたことが良かった。プラス、その逆になるボールが減ってきた。それは進歩かな」

課題を1つずつ潰していく日々。「優先順位を決めてやっていったらいい。今は左バッターに食い込むボールを1番大事にしている。前よりちょっずつ進んでいると思う」と悩むレベルが高くなったことも実感していました。

木村大投手が変われたのは、「球とフォームに自信を持てるようになった」からでした。

これまで迷い続けてきたフォーム。首脳陣からも「大成はフォームがコロコロ変わる」と疑問符を持たれてきましたが、長い試行錯誤を経て、自分の中で「これだ」と思えるものが見つかりました。

「いろいろとフォームをいじった時期もあったんですけど、今はシンプルに」と迷いがなくなりました。

ポイントは、胸。これまでは胸が横に回旋するように投げていましたが、今は胸を引き上げるようなイメージで投げています。

「上から投げてるわけじゃないんですけど、自然と(腕を)縦に振れるようになりました」と解説します。上から叩けるようになったことで、直球の力強さも増しました。

時間はかかりましたが、探し続けた自分のフォームと1軍で過ごした実りある時間を自信に変えて、次こそは本当に1軍のマウンドへ──。

家族も見守った北海道での3連戦後、実家に立ち寄った木村大投手。「投げるのか、投げないのか」ドキドキで見守った家族は、本人以上にぐったりしていたといいます。

いつも応援してくれる家族に、今度は喜びの疲労感を届けて欲しいです。

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Writer /

上杉 あずさ『班長』

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