3年ぶりの景色でした。プロで踏み出した大きな一歩に、安堵の笑みが光りました。
育成2年目の河野伸一朗投手が29日、プロ入り後初めてのライブBPに登板しました。打者3人と対戦し、19球を投げ、安打性の当たりは1本。
「思ったより感覚が良くて。最初はまともに投げられるかちょっと不安だったんですけど、思ったより良い球が投げられて。ちょっとホッとしたなっていう感じはあります」
打者に対して投げるのは、プロ入り後初めて。高校2年の秋を最後に実戦登板がなかった左腕は「もう3年ぶりくらいです。なんかちょっと不思議な感覚でしたね。初めてっぽいような、懐かしいような感じで」と振り返りました。


2024年の育成ドラフト5位で宮崎学園から入団した190cmの長身左腕。高校2年夏の宮崎大会では、決勝戦で延長10回完封勝利をあげるなど、全5試合に登板し、同校を春夏通じて初の甲子園に導きました。しかし、その後は左肘を痛め、高3時にはマウンドに立つことが出来ませんでした。
それでも、高いポテンシャルを評価された左腕は、福岡ソフトバンクホークスから育成指名を受けました。憧れのプロの世界に入るも、4月には左肘のトミー・ジョン手術を決断。一度も投げることなく、リハビリから始まったプロ生活でした。
「現実はそう甘くない」…何度も直面した壁
当初は順調なリハビリが続いていました。今年2月の春季キャンプ中にブルペン投球を開始。4月末頃にはプロ初登板となる復帰戦が見えていましたが、左肘に違和感を覚え、ノースローに。
再び立ち上げ直しとなり、気持ちが落ちた時間もありましたが、「もう吹っ切れました。次、上手くいけばいい」と前を向きました。すると、今度はブルペンで147キロをマーク!高校時代は「140キロくらいしか出ていなかったです」といい、実戦デビューを前に自己最速を大きく更新したのです。
手応えを感じながら、目指した7月の初登板でしたが、今度は左肩に痛みが出て白紙に。復帰目前で再びの頓挫──。
「ブルペンで147キロ出て、次ライブBPを控えていたところで(痛みが)きたので…。『うわ、マジか』と思って。そこが1番キツかったですね。また最初から(立ち上げ)かって」

河野投手にとって最も苦しい出来事でした。むしろプロ入り後すぐの手術は、割り切れていました。「1年目は準備しよう。2年目から勝負しようと目標を掲げていましたが、なんか思っていたよりも上手くいかず、肩にも痛みがきて…」と思い返した1年半。
「現実はそう甘くないですね」と語った20歳。
挫けそうになりながらも、静かに歩みを進めてきた河野投手。そして、ようやくたどり着いた実戦形式練習。「楽しみは楽しみだったんですけど、ドキドキの方が大きいかな」というのは、何度も立ちはだかる壁を乗り越えてきたから。無事に投げ終えたことに安堵した様子が印象的でした。

体重は入団から14キロも増えました。明らかに逞しくなった身体に比例するように、球速もフォームの力強さも増しました。まずはライブBPという場で、頑張ってきた証を見せました。
秘めてきたマウンドへの思いと、積み上げたたしかな成長を、これからは存分に発揮してくれることでしょう。ポテンシャル高き左腕の今後に注目です。
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