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負けたら終わりの大一番で大抜てき!育成4年目右腕が魅せた覚悟と成長

上杉あずさのスコアブック
公開日:2026.10.08

負けたら終わりの大舞台で、育成右腕がマウンドに送り出されました。

10月3日、静岡で行われたファーム日本選手権ファーストステージ。ファーム・リーグ西地区を制し、日本一をかけた舞台へと進出した福岡ソフトバンクホークス。この日、東地区を制した日本ハムと戦いました。

試合は2回に2点を先制するも、先発の岩崎峻典投手が捕まり、5回途中6失点。逆転を許して降板する苦しい展開に。2番手で中村稔弥投手が登板し、1回無失点と試合を整えた直後の6回。3番手としてマウンドに送り出されたのは、なんと育成4年目の内野海斗投手でした。

2022年育成ドラフト4位で武田高校(広島)からホークスに入団した、潜在能力高い地元・福岡出身の本格派右腕。今季2軍で4試合、通算でも5試合登板の育成右腕が、この大一番で大抜てきされたのです。

内野投手は、「他に支配下のピッチャーもいっぱいいたし、負けたら終わりの試合。しかも育成枠も、シーズン中7枠あったんですけど、ファーム選手権は5枠しかなかった。なので、支配下のピッチャーがどんどんいくやろうなと思ってたんですけど、投げさせてもらえて、しかも2イニングも行かせてもらったんで、本当にありがたかった」と感謝しました。

6回は2本の安打で一死2、3塁のピンチを背負うも、1軍の実績もある今川優馬選手を三ゴロに打ち取りました。続く打者に死球を与え、二死満塁となるも遊ゴロで凌ぎました。

「なかなかないじゃないですか、ああいうところで投げる機会。負けたら終わりの一発勝負って、高校野球だったらありますけど、プロの世界ではあまりない。なので、ピンチの場面も自然と『この状況を楽しもう』って思えました。ヒット打たれたら2点で、8対3になったら厳しくなる状況だったんですけど、投げさせてもらえるんやったら、楽しんで投げようかなって。やっぱ支配下がいっぱいいる中で投げさせてもらっているんで、そこは(支配下ではない)自分が弱い姿とか見せるのはちょっと違うなと。攻めていく中で打たれたら打たれただし、その中で抑えてやろうと覚悟を決めていきました」

なんとも頼もしいメンタルでした。7回も続投し、危なげなく三者凡退。2回無失点でバトンを繋ぎました。

緊張していたといいますが、「でも、緊張してふわふわしてたっていう感じではなくて。負けたら終わりの試合で、ずっと2軍で投げてきたわけでもない自分が投げさせてもらえてるんで、絶対抑えないといけないなっていう思いでした。(内容は)良くなかったけど、0で抑えるっていうのが大前提にあるんで、抑えたっていうのはまずは最低限というか、良かったのかなと思います」

このマウンドに立っていることに責任を持ち、覚悟を決めて腕を振りました。緊張感ある一発勝負の舞台で、無失点という素晴らしい仕事をしました。

首脳陣に”投げさせたい”と思わせる姿

「堂々とした姿を見せてくれた。1番良かった」

そんな内野投手を称えたのは、奥村政稔2軍投手コーチでした。「3軍でもずっと頑張っていたし、やっぱ目ギラつかせて『投げたい投げたい』っていうのも見えたし、隙あらばいかせようと思っていた」と首脳陣に”投げさせたい”と思わせる姿があったといいます。

「それに、抑えられると思った」と奥村コーチは最近の内野投手の投げる球を評価していました。

「アイツ、ランニングしよっても速そうに見えない…だけど速いんですよね。みたいなのがあるんですよ。投げても、力いっぱい投げて強い球がくるんじゃなくて、フォーム以上の球がくる。そこが魅力でもあるし、変化球のキレもいい。四球で崩れるタイプではないし、最近の調子もそんな悪くないし、これならバッターと勝負できるなと思った」

大舞台で育成右腕を送り出した思いを明かします。さらに、「あとは、この緊張感の中で海斗がやれるんかっていうのを見たかった。堂々としていたし、マウンド上でも本当に成長したなと思った」と目尻を下げました。

緊張しながらも、堂々たるマウンド姿を見せた内野投手。チームとしては粘りながらもサヨナラ負けという結果でしたが、来年以降を見据えても、内野投手の成長は大きな収穫でした。

「ホークスに来てよかった」

入団から怪我に苦しめられる時間も長くありましたが、今年は確実にステップアップしてきました。春先に右内転筋を痛めて出遅れましたが、以降はしっかりと3軍で登板を重ね、2軍でも4試合(12回2/3)に登板しました。

「2軍でも少しずつチャンスをもらえて。いい経験になってる部分が多いなっていう感じはしますね」と充実した表情を浮かべました。

昨季最優秀中継ぎのタイトルを獲った松本裕樹投手のような投球フォームと、落ち着いたマウンドさばきからも期待は膨らみます。

今秋ドラフトは、同学年の大学4年生たちが指名を待つ年。8月にはそんなドラフト候補擁する強豪大学との練習試合にも登板しました。「打たれるわけにはいかないと思ったし、やれるなと思えた。(進学ではなく)ホークスに来てよかった」と話していました。プロで積み重ねた4年間の成長に胸を張り、来季の活躍を期待したい。

Writer /

上杉 あずさ『班長』

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