今宮健太選手が、若鷹に熱血指導!
不意に訪れた貴重な熱い時間でした。自身のことを”人見知り”と語ってきたベテランが、育成ルーキーの江崎歩選手に自ら歩み寄り、熱血指導を行ったのです。
福井工大福井高校から2025年育成ドラフト2位で入団した小柄な内野手。高卒ルーキーながら、2軍でも31試合に出場。打率.241、7盗塁を記録するなど、勢いのある若鷹です。しかし、9月19日のファーム・リーグ阪神戦(タマスタ筑後)で負傷交代し、その後はリハビリ組へ。左足首のリハビリを行いながら黙々と練習をしていたところに、憧れの先輩が現れたのです。

「光るものがある」名手が注目する若鷹
10月7日に右太もも裏の肉離れで登録抹消となった今宮選手。14日、リハビリで筑後を訪れると、「気になる存在ではあった」という19歳の練習を見つめました。トレーナーとキャッチボールをしていた江崎選手に歩み寄り、無言でトレーナーと代わって、突然2人のキャッチボールが始まりました。さらに、守備練習では熱血指導!
「元々自分から話すキャラじゃない」という今宮選手が、「何でもいいからキッカケになればいいなと思って」と自ら声を掛けたのです。自身としてはこの時期の離脱でもどかしい思いもある中、後輩の成長を気に掛ける、器の大きな優しい先輩。ちょっとアドバイスを送る程度ではない、まさに”今宮コーチ”でした。

「春のキャンプの時によく一緒にノック受けたりしたんですよ。その時から本当になかなかいい動きをしていたし、気になる存在ではあった」
今宮選手が注目したのは、江崎選手の”前の動き”でした。「ショートの前の動きって、結構難しい。横の動きが速い選手はいるんですけど、突発的なボテボテの打球に対しての前の速さっていうのは、(江崎は)結構光るものがあるのかなと思います」と頷きます。
一方、江崎選手は今年1年、初めてプロの世界で戦う中で浮かんだ疑問や気になることを、絶好の機会にどんどん質問しました。それは、やや苦手意識のある逆シングルのコツやグローブの使い方、練習での意識など多岐にわたりました。今宮選手は身振り手振りをしながら熱く語りかけ、時折実演してみせる場面もありました。

長くショートを守るために大切なこと
様々なことを教わった江崎選手ですが、その中で最も今宮選手に熱弁されたのは、「足を使うこと」でした。
三遊間の打球に対して、今までは打球を最短距離で直線的に追っていたという江崎選手。しかし、「それだと、足は使っているかもしれないけど、送球の際に腕をひねって使わないといけないんで、上半身を多く使っちゃう感覚があったんです」。

今宮選手の教えは、「まずは横に走って、ボールの正面に入ること」でした。
既に前の動きに関しては、良いものを見せている江崎選手。だからこそ、今宮選手は「練習ではギリギリの打球だろうが、ボールの正面に入ること」の大切さを説いたといいます。
さらに、「そこから投げようと思ったら、腕だけじゃ絶対に一塁まで届かないので、そのためには足を使って投げないといけない。そこの足まで頑張らないと、守備範囲もどんどん狭くなるし、せっかく持っている足の速さも生かせないからもったいない、ということでした」と江崎選手は今宮選手から教わったことを、自らの言葉で解説しました。
まさに、名手が長いプロ生活の中で培ってきた経験に基づく貴重な話でした。今宮選手がベテランになっても、広い守備範囲を保ってきたのは、それを大事にしてきたから。
「 『年を重ねると、やっぱり守備範囲は狭くなるものだから、若いうちに足を使ってどれだけやれるかが、ショートを守れる年数に繋がる。それを怠れば怠るほど、ショートを守れる年数は短くなるし、それを一生懸命頑張れば、守れる年数は増えるよ』っていうお話をしていただきました」と江崎選手は、憧れの先輩から授かった金言を明かしました。

今宮選手は「頑張って下半身使って練習しようよっていうのは言いましたね。今、怪我してるんで、楽してノック受けると、どんどん動きが悪くなっちゃう。僕は身をもって感じたんで、それを言いました。大事にした方がいいよと」と優しい表情で語りました。
今春、14年連続開幕遊撃手というプロ野球新記録を樹立したベテランが、長きに渡り大切にしてきたこと。その技術や考え方を、プロでスタートを切ったばかりの未来ある若鷹に惜しみなく伝えたのでした。
今宮選手にとっては、ポストシーズンを前に戦線離脱し、苦しい胸中もあるはず。それでも、後輩を思い、チームのために行動する姿こそ、今宮選手がホークスに欠かせない理由なのです。
そして、その熱量をしっかりと受け止めた江崎選手。”強いホークス”の伝統が、ベテランから若鷹へと受け継がれる貴重な瞬間でした。
