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ハモンドを諦めない…奇跡を起こせる”貴重な能力”

上杉あずさのスコアブック
公開日:2026.11.01

今年も寂しい季節がきてしまいました──。
10月6日、第1次戦力外通告。育成5年目のハモンド投手は球団事務所に呼ばれ、来季契約を結ばない旨を通達されました。

2021年育成ドラフト5位指名を受け、帝京第五高から福岡ソフトバンクホークスに入団。公称190cm(入団時)の長身と長くしなやかな腕から投げ込む直球が魅力でした。当時から荒削りな部分は否めなかったものの、何か歯車が噛み合えば、”大化け”する可能性を期待したくなるような、個性のある投手でした。

恵まれた身体がありながら、1年目は直球の球速が130キロにも満たないこともあったり、バックネット上部に突き刺さるような暴投があったり。でも、練習を重ねながら経験を積むと、最速は151キロにまで成長。150キロの直球で3者連続三振という圧倒した姿を見せたこともありました。やはり”ロマン”を感じるハモンド投手の覚醒を夢見てきました。制球には多少の不安はありましたが、ここぞの集中力を発揮した時の粘りの投球には、成長を感じました。

そして、10月5日。1軍本拠地・みずほPayPayドームで行われた3軍戦。

当初、この日投げる予定には入っていなかった右腕ですが、クライマックスシリーズに向けて調整で先発登板したリバン・モイネロ投手が、球数の関係で5回途中、走者を残して降板。そこで、空いた「1/3回」を任されたハモンド投手。投じたのはわずか2球でしたが、二死1、2塁のピンチを右飛で”モイネロの火消し”に成功しました。

これがホークス選手として最後のマウンドとなりました。試合後、ハモンド投手の”電話”が鳴り、翌日、ユニフォームではなく、スーツ姿でドームへ。球団から来季の育成契約を結ばないことを通達されました。

その後、チームメイトや監督・コーチ陣に挨拶へ向かったハモンド投手は、人目はばからず涙を流したといいます。

その時のことを、寺原隼人3軍投手コーチは「みんなの前でも堂々と泣いていたし、スーツの着こなし方とか、『そのシャツどこに入れとんねん!』みたいな。ツッコミたかったけど、ボロボロ泣いていて、ちょっと精神的にもやられとるんかなと思ってね」と思いやりました。

「悔しい気持ちは今までもあったかもしれないけど、初めてこうやって”戦力外”って言われて、本当の悔しさを知ったのは今回が初めてなんじゃないかな」

3軍投手コーチとして寄り添ってきた寺原コーチは、ハモンド投手の様子から心の動きを感じ取っていました。「これが本人にとって良い材料になって、頑張ってくれたらいいんじゃないかな。(戦力外になった後も)毎日のように練習してるし、ピッチングも入ってるし、頑張って欲しい」と現役続行に向けて、歩みを止めず挑み続ける右腕にエールを送りました。

奇跡を起こせるポテンシャル

身長192cm、体重86kgの恵まれた身体に長い手脚。まだ22歳。大きなポテンシャルを秘め、コツコツと階段をのぼってきたハモンド投手。

フェリペ・ナテル3軍投手チーフコーチは、「ハモンドのエクステンションは2m20cmも出るんですよ。2m出る人はいても、2m20cmはなかなかいない。貴重な能力ですよ」と語ります。

エクステンションは「どれだけ打者に近い位置でボールを離せているか(球持ちの良さ)」を数値化した指標。NPBの平均が約1.8m〜1.9m程度といわれており、ハモンド投手のエクステンションはホークスでもトップクラスなのです。

寺原コーチも「ボール自体は、人と違った特徴を持っている」とハモンド投手の特色を語っていました。「だから、そこをいいと思ってくれるチームがあるかもしれない」と次のステージに望みをかけます。

さらに、自身の経験からもエールを送ります。

「人って環境変わったら、いきなり人間変わるくらい、すごい成績残す人もいるし、どうなるかわからない。自分も(移籍した時は)気持ち的にも違ったし、自分のことを一から見てもらえる環境になるから、新鮮な気持ちでできたっていうのもあるし。捲れるんじゃないかという気持ちにもなる」

2度のトレード、FA、戦力外など4度の移籍を経験した寺原コーチは、”環境の変化”がいかに選手にとって大きな機会なのかを熱弁します。「そういう機会を自分でゲットできるように頑張ってほしいですね」と目尻を下げました。

僭越ながら、筆者の私も入団からハモンド投手の成長を見守ってきました。特にこの2年は、不器用ながらも、目の前のことに一生懸命取り組む姿、とにかく身体で覚えようと球数多く投げ込む姿などから危機感と覚悟を感じました。

寺原コーチが語るように、本当の悔しさを知ったことで、本気で変われるのか──。”環境の変化”によって、秘めてきたポテンシャルを開花させられるのか──。

ハモンド投手が挑み続ける限り、応援しています。

Writer /

上杉 あずさ『班長』

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