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「死ぬ気でやってきた」…駆け抜けた日々と思い知った”己の弱さ”

上杉あずさのスコアブック
公開日:2026.08.14

「死ぬほど悔しかった」

7月末までの支配下登録を本気で掴みに、死に物狂いで駆け抜けてきました。それでも、届かなかった”吉報”。悔しくて悔しくてたまらなかった──。


支配下登録期限を終えて約2週間が経った今、大泉周也選手が抱えてきた思いを打ち明けました。

様々な思いが巡りに巡った7月は、一言で表せるような時間ではありませんでした。

7月31日、後半戦初戦の日。練習前、斉藤和巳2軍監督と言葉を交わしました。大泉選手の”今の気持ち”を確かめるように、指揮官は熱い言葉をかけたといいます。

育成3年目の大泉選手。高校卒業後、社会人野球の日本製鉄鹿島で3年プレーした後、独立リーグの福島レッドホープスに入団しました。2023年にはBCリーグで本塁打王に輝き、同年秋のドラフト会議でホークスから育成1位指名を受けました。

プロ1、2年目は主に3軍でプレー。選手層の厚いホークスでは、2軍に定着することも簡単ではありません。そんな中、3年目の今季は2軍で7月末までに自己最多50試合に出場。打率.287をマークし、公式戦初アーチ含む4本塁打、21打点、4盗塁と奮闘してきました。

限られた出場機会に集中力を発揮し、食らいついてきました。しかし、支配下登録は叶いませんでした。

「明日取り返すチャンスがない」…決死の覚悟で挑んだ日々

「去年よりも多くチャンスもらって、支配下が見えないところでもなかったんで。本当に今年にかけてやってきた。だから、死ぬほど悔しいですけど、こればかりは自分の実力不足なんで……」

大泉選手の今年にかける思いには、誰もが気付いていたはず。だからこそ、斉藤2軍監督はじめ、周囲の人からは心配や励ましの声をかけられました。「気を遣われるのは情けないですよ」と肩を落としましたが、並々ならぬ覚悟で挑んだからこそ、落胆も大きかったのです。

盤石な1軍の外野手陣。さらに、投手力を強化したいチーム事情。大泉選手は「2軍で打つだけじゃなくて、やっぱり1軍で必要な選手が(支配下に)上がるんだと思う。それに、全然自分の数字も納得できるものではなかったので」と悔しさを滲ませました。

このチームで支配下を勝ち取るには、ちょっとやそっとの成績では足りないことは重々承知。だからこそ、それが焦りにも繋がりました。特に6、7月は期限が迫るプレッシャーに押し潰されそうになり、なかなか自分のバッティングができませんでした。

「今思えば、めちゃくちゃ焦っていましたね。打たなきゃいけないとかバタバタして、どっしりしていなかった。気持ちの面でも弱さがあったなと思います」

試合で打てなかったり、上手くいかないと1人で考え込みました。それもそのはず。2軍でのスタメン出場は3試合に1回程度。限られた中で結果を残し続けるのは簡単ではありません。「(育成の)自分たちには、明日取り返すチャンスが(支配下の選手みたいには)ない。さすがに気負いますよね。1本1本が必死です」と腹をくくって一打に集中してきました。不安や焦りと常に隣り合わせで戦ってきました。

そんな大泉選手の心境を察し、斉藤2軍監督は度々声をかけてくれたり、試合後の練習に付き合ってくれたりしました。「すごく助かっていた部分はありましたね」と気にかけてくれた指揮官に感謝しました。

徹底した”丁寧さ”と受け止めた”弱さ”

たくさんの感情を抱えてきましたが、そんな時こそ大泉選手が意識したのは、”丁寧に生きる”こと。「(悔しさを)発散してやろうっていう感じじゃなくて、より丁寧にっていうイメージですね」と語ります。

規則正しい生活、食事や体調管理など、”当たり前”を徹底してきました。「例えば、斜め横断をしないとか、ゴミが落ちていたら拾うとか、そういうことも含めて、気づいたことがあったらやろうと敏感になっています」と細かいことをより意識して大切に過ごしてきました。

そんな丁寧さは、野球でも。練習では「ティーの1球目を1番集中して打つ」だったり、「次の日切り替えて試合に入れるように、やりきってから帰りたい」とナイトゲーム後は時間も遅くなりますが、バットを振り、心身共に整理してから帰路につくよう心がけました。

結果が出ている時も、そうでない時も、1日1日を大切に丁寧に過ごしてきました。

野球人生で最も悩んで、考えて、戦ってきた時間でした。

「いろんなことに気付いたし、いろんな自分を知れた。こんなに自分が弱かったんだってわからなかったし、自分はこんなに考え込むんだという気付きもありました。そこを生かしていくのがこれからの時間ですよね」

弱さを受け入れられるのは、強さ──。この悔しくてたまらなかった経験を経て、大泉選手は間違いなく強くなったのです。

「ここからの姿が、自分のこれからの野球人生と人間性を決める時間だと思うので。よりもっと丁寧に野球も生活もやっていきたいですね」と前を向きました。

諦めない限り、戦いは続きます。様々な面で強くなった大泉選手が新たなステージへと駆け上がる姿を、これからも応援したい。

Writer /

上杉 あずさ『班長』

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