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恩師の前で魅せた最高のピッチング…澤柳亮太郎が“あの日”以来の本拠地マウンド

上杉あずさのスコアブック
公開日:2026.10.12

“あの日”以来のマウンドに帰ってきました。

10月5日、みずほPayPayドームで行われた3軍交流試合。韓国プロ野球のサムスン・ライオンズ2軍との一戦で、7回にコールされたのは、澤柳亮太郎投手でした。

特別な思いと共に上がったマウンド。

遡ること2年前、2024年8月──。
ドラフト6位ルーキーだった澤柳投手は、即戦力として1軍で登板を重ねていました。8月1日の楽天戦ではプロ初勝利を挙げ、3日後の日本ハム戦で2勝目を挙げるなど、華々しいルーキーイヤーを過ごしていました。

しかし、11試合目の登板となった10日の楽天戦(みずほPayPayドーム)でした。右肘に違和感を覚え、緊急降板。その後、右肘のトミー・ジョン手術に至りました。

長くて苦しいリハビリ生活を乗り越えて、約2年2か月ぶりに本拠地のマウンドに上がったのです。

3軍戦とはいえ、“あの日”以来の場所に立ち、「ちょっと緊張しましたね。なんか懐かしい感じがしました」と感慨深さも感じていました。

先頭打者を空振り三振、続く打者を遊ゴロ、最後は三飛に仕留める圧巻の三者凡退。1回無安打無失点、最速148キロでした。

「平均球速も上がってきて、良かったです」と頷きました。力強い直球は澤柳投手の最大の魅力ですが、それ以上に、この日手応えを感じたのは”新球”でした。その名も『NAO-EX』。

「あれは完全にEXです」と明かしたのは、1人目の打者から奪った空振り三振の決め球、フォークでした。

「やっと落ちました。練習だと落ちたんですけど、試合になったら落ちなくて。悔しくて、(練習で)投げまくったらようやく落ちましたね。嬉しいです」と『NAO-EX』で奪った記念すべき初三振でした。

『NAO-EX』とは、澤柳投手がリハビリ期間中に改良を重ねてきたフォークボール。2人の『NAO』さんらから助言を貰い、磨き上げてきた新球です。東浜巨投手の伝家の宝刀・シンカーをベースに、上沢直之投手、藤井皓哉投手のフォークの要素を取り入れました。あらゆるフォークボーラーに極意を聞き、自分なりに試行錯誤を繰り返してきました。

その大切に磨いてきた1球で奪った初の三振を「嬉しかったですね。(先輩たちに)報告しないと」と笑みを浮かべました。

恩師の前で魅せた最高のピッチング

澤柳投手にとって、もう1つ嬉しいことがありました。

それは、「森山(良二)さんの前でドームで投げられたこと」。対戦相手の監督として、三塁側ベンチから登板を見届けてくれたサムスン・ライオンズ森山良二2軍監督。

昨年までホークスでリハビリコーチを務めていた森山監督は、澤柳投手にとって“恩人”でした。「1番辛かった時に一緒にいてくれた方なので、良い姿を見せたい」と試合前から高ぶる気持ちがありました。

そんな恩師の前で見せた、素晴らしいピッチング。森山監督は「良かったんじゃない?筑後(の合同練習)でもブルペン見たんだけど、去年からちょっとフォームも変わってたね。足の上げ方とか腕もコンパクトになって。いろいろ試してやってますって言ってたけど、アイツのいいところは、腕を振れるところだから。しっかり腕振れてたから良かった」と微笑みました。

澤柳投手に伝えると、「いい球投げてたって言ってくれてました?良かったです。森山さん、褒めてくれるかなと思って」と嬉しそうでした。

チームを離れても、教え子たちに慕われ続けているのは、森山監督の人柄あってこそ。「僕としてもコーチ冥利に尽きますよ。いや、良かったね。澤柳もこれからどんどん投げて、早くまた2桁に復帰してほしい。38番、いい番号もらってたんだから。ああやってしっかり腕が振れるところは、(前の38番の森)唯斗にも似てるし、1軍で投げる姿を、俺もまた目にしたい」と優しくエールを送りました。

度重なる困難を乗り越えながら、前進し続ける右腕。久しぶりのドームで、恩師の前で魅せた好投は、これからに弾みをつけてくれるような素敵な時間となりました。

Writer /

上杉 あずさ『班長』

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